Yahoo!ニュース

トルコ、軍事ドローン「バイラクタル」に搭載可能な小型爆弾「BOZOK」大量生産:ウクライナ軍も大歓迎

佐藤仁学術研究員・著述家
(SAGE提供)

ウクライナ軍「BOZOKをテストして、実戦で使えることを証明するのに最高の環境です」

ロシア軍が2022年2月にウクライナに侵攻。ウクライナ軍はトルコ製の軍事ドローン「バイラクタルTB2」を利用して侵攻してきたロシア軍に攻撃している。トルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍の装甲車を上空から破壊して侵攻を阻止することにも成功したり、黒海にいたロシア海軍の巡視船2隻をスネーク島付近で爆破したり、ロシア軍の弾薬貯蔵庫を爆破したり、ロシア軍のヘリコプター「Mi-8」を爆破したりとウクライナ軍の防衛に大きく貢献している。ウクライナ軍が上空からの攻撃に多く利用しているトルコ製のドローン「バイラクタルTB2」はロシア軍侵攻阻止の代名詞のようになっており、歌にもなってウクライナ市民を鼓舞している。

そして、トルコ防衛産業研究開発研究所(SAGE)は軍事ドローン「バイラクタルTB2」に搭載可能なレーザー誘導の小型爆弾「BOZOK」を大量生産することを明らかにした。「BOZOK」は重量16キログラムで最大到達範囲が当初は9キロメートルでだったが現在では15キロメートル。

ウクライナ軍も自身のSNSでトルコのレーザー誘導の小型爆弾「BOZOK」の大量生産について「ウクライナでの紛争はBOZOKをテストして、実戦で使えることを証明するのに最高の環境です」と投稿している。ウクライナ政府は世界中に兵器の提供を呼びかけている。

ウクライナ軍がトルコの軍事ドローン「バイラクタルTB2」を活用してロシア軍を多く攻撃している。そして爆破に成功するたびに上空からの動画をSNSで公開して世界中にアピールしている。このようなSNSや動画だけを見ていると、ウクライナ軍が優勢のように見えてしまう。だがこのように軍事ドローンで攻撃に成功する前にロシア軍に上空で撃墜されてしまうことも多い。「バイラクタルTB2」でも全戦全勝ではない。「バイラクタルTB2」は大きくて目立つために、ロシア軍の地対空ミサイルに撃墜されている。

小型爆弾「BOZOK」が大量生産されるようになり、ロシア軍への攻撃回数は増えるだろうが、「バイラクタルTB2」そのものが撃破されてしまっては爆弾投下すらできないので、ロシア軍の地対空ミサイルを先制攻撃して破壊しておくことも重要だ。

▼バイカル社の攻撃ドローンの「バイラクタル TB2」

現在「バイラクタルTB2」で投下している爆弾はMAM-Cが重量6.5キログラム・到達範囲8キロメートル、MAM-Lが重量22キログラム・到達範囲15キロメートル。

▼「バイラクタル TB2」を称えたウクライナの歌

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

佐藤仁の最近の記事