アンネ・フランクをテーマにした創作アニメ映画『アンネ・フランクと旅する日記』(原題:Where Is Anne Frank)が2022年3月11日から公開されている。そして2022年9月2日にはDVDも発売される。

現代のオランダ・アムステルダム。激しい嵐の夜、博物館に保管されているオリジナル版「アンネの日記」に異変が起きた。突然、文字がクルクルと動き始めて、キティーが姿を現した。時空を飛び越えたことに気づかないキティだったが、日記を開くと過去へさかのぼってアンネと再会を果たし、日記から手を離すとそこには現代の風景が広がっていた。目の前から消えてしまったアンネを探して、キティは街を疾走するという「アンネの日記」をベースにしたフィクション映画。「未来を信じ続けたアンネを探して、現代を旅するキティ。そこにはどんな世界が広がっているのだろう」というメッセージを伝えている。

「アンネの日記」出版から75周年

2021年7月にはフランスのカンヌ映画祭でアンネ・フランクの話をもとにした創作アニメ映画「Where is Anne Frank」が公開されていた。イスラエルの映画監督でホロコーストを生き延びた両親を持つアリ・フォルマン氏が監督を務めている。フォルマン監督は2008年に公開された「戦場でワルツを(Waltz with Bachir)」も制作していた。2021年8月24日から9月4日までイスラエルのエルサレムで行われる第38回エルサレム映画祭でも公開されていた。そして「Where is Anne Frank」は2021年のヨーロッパ映画賞にもノミネートされた。

第二次世界大戦の時に、ナチスドイツが約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコースト。アンネ・フランクはユダヤ人だったために、ナチスの標的となり迫害を逃れてオランダのアムステルダムの隠れ家で約2年間、身を潜めて生活していたが、密告されて1945年にベルゲン・ベルゼン強制収容所で病気で死亡した。アンネが隠れ家生活で思いを綴った日記を戦後、ホロコーストから生き延びた父オットー・フランクが「アンネの日記」として出版し、現在でも世界中で多くの人に読まれている。アンネ・フランクはホロコーストを象徴するような人物で、欧米やイスラエルではホロコースト教育が行われることが多く、小学生の必読書にもなっている。そして2022年には「アンネの日記」出版から75周年を迎える。

またアンネ・フランクは世界中の老若男女にも人気がある。世界中の若者に人気のインスタグラムには世界中のアンネ・フランクのファンがアンネの当時のモノクロ写真や、アムステルダムにある「アンネの家」を訪問した写真をたくさん投稿している。

進むホロコーストの記憶のデジタル化

そしてアンネ・フランクの生涯は「アンネの日記」をもとにした映画、ドラマ、演劇、アニメ、マンガなどで世界中で作品の題材として取り上げられ、演じられている。アンネの生涯を忠実に描いたノンフィクションである。

戦後75年が経ち、ホロコースト生存者らの高齢化が進み、記憶も体力も衰退しており、当時の様子や真実を伝えられる人は近い将来にゼロになる。当時の記憶や経験を後世に伝えようとしてホロコースト生存者らの証言を動画や3Dなどで記録して保存している、いわゆる記憶のデジタル化は積極的に進められている。デジタル化された証言や動画は欧米やイスラエルではホロコースト教育の教材としても活用されている。ホロコースト映画をクラスで視聴して議論やディベートなどを行ったり、レポートを書いている。特にこのようなアニメは、残酷な映像や写真がないので、小学生のクラスでのホロコースト教育では多く活用されている。そして今回、日本でもDVDが発売される。ホロコースト映画の多くはデジタル化されてオンラインでの配信も多いが、世界中でDVD化されて図書館の視聴覚教材として収められて、ホロコースト教育の中で使われていることも多い。

『アンネ・フランクと旅する日記』(Where is Anne Frank)はアンネが迫害されていたホロコーストの時代と、「アンネの日記」に登場して、アンネが日記の中で語りかけている架空の人物のキティが出てきて、それぞれの物語が繰り広げられる創作アニメ映画、いわゆるフィクションだ。

アンネの生涯をもとにしたノンフィクションの部分と完全に創作のフィクションが入り混じっている。だが、当時のアンネやユダヤ人の置かれた立場も描かれており、ホロコーストの時代の様子や、その時期を過ごしたユダヤ人の少女の心境を垣間見ることができる。

 ANNE FRANK FONDS BASEL, SWITZERLAND
ANNE FRANK FONDS BASEL, SWITZERLAND

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