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コロナで子どもがいる家庭の収入減少・4割の家庭の子供が教育受けられず:ユニセフと世界銀行が報告書

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

約7割の家庭がコロナで収入減

ユニセフ(国連児童基金)と世界銀行は2022年3月に「Impact of COVID-19 on the welfare of households with children(子供のいる家庭のコロナのインパクト)」という調査レポートを発表した。

35ヶ国での調査によると2年前に新型コロナウィルスのパンデミックが発生して以来、子供のいる家庭の3分の2以上で収入が減収した。特に子供が1人か2人の家では68%減だったが、3人以上子供のいる家では76%以上も収入が減っていた。そのため25%の家庭では大人が1日以上食事を取れない日があるとのこと。

また新型コロナウィルスのパンデミックで多くの国で学校が閉鎖されていたが、閉鎖期間中、40%の家庭の子供が教育を受けられなかった。ユニセフによるとこの集計データは世帯単位のため、実際の個人単位ではもっと多くの子どもが教育を受けられていないだろうと推計している。

学校が閉鎖されてもオンライン学習を受けられない子供たち

日本でも新型コロナウィルス感染拡大によって2020年には多くの学校が休校になり、オンライン学習が導入された。小中高等学校は再開したが、大学では今でもオンライン学習が主流だ。日本だけでなく世界中で新型コロナウィルス感染拡大によって学校が閉鎖され、オンライン学習やリモート学習が導入されたが、特に途上国では自宅にネットの回線がない、パソコンだけでなく学習用のスマホやタブレットを所有していない、たとえスマホを所有していても長時間の授業を受けられるほどの通信費を払えない子供が多い。このように長期間にわたって学校が閉鎖されていても、自宅でリモート学習をできる環境がない。オンライン学習はスマホ、タブレット、パソコンなどの機器がないと受講できないし、通信費も家庭で負担することがほとんどで、リアルに学校に行くよりも設備投資や通信費などお金がかかる。

そのような子供たちは教育を受ける機会はゼロになってしまい、また家計を助けるために働かざるをえない。特に女子は学校に行かないで家計を助けるためだけでなく、家族の世話をするためにも働くことが多い。さらに様々な犯罪に巻き込まれる可能性もある。そして学校が再開されても、授業についていけなかったり、仕事をやめるわけにいかずに学校をやめてしまうことも多い。また、たとえスマホやタブレットなど機器や回線のデジタルツールが整備され、リモート学習が可能な環境になったとしても、家では家族が多くて、狭くて自分の部屋もないのでオンライン学習で授業を受けられない子供も多い。

さらに授業は学校で受けるものという思い込みがあり「家にいるなら働いて家計を助けろ」とリモート学習に対する理解を示さない保護者への対応も必要になってくる。日本では考えられないだろうが「女子が学校に行く必要はない」「女子に教育は必要ない」と本気で今でも思っている人が多い。そして「学校に行けないで、働かないなら、早く結婚すべきだ」と思う親も多く児童婚も増加している。このようにデジタルツールの整備が完了しても、家でリモート学習ができない現在の環境と保護者のリモート学習への理解を得ることへの対応が重要になってくる。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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