「顔認証技術で特定個人を認識して攻撃してくるロボット兵器を懸念」アルジャジーラ報道
2021年12月にスイスのジュネーブで国連の特定通常兵器使用禁止制限条約(Convention on Certain Conventional Weapons: CCW)の会議が開催されて、自律型殺傷兵器について議論されていた。
AI(人工知能)技術の発展とロボット技術の向上によって、軍事でのロボット活用は進んでいる。戦場の無人化が進むとともに「キラーロボット」と称される人間の判断を介さないで攻撃を行う自律型殺傷兵器が開発されようとしている。
CCW閉幕後の2021年12月25日には中東アラブ系メディアのアルジャジーラが顔認識技術が発展したことによって、人の顔を認識して、その人を標的にして攻撃をしかけてきて、殺傷することが現実味を帯びてきていると3分程度の動画のニュースで報じている。キラーロボットと呼ばれる自律型殺傷兵器が特定の殺害したい人を検知して、認識したら自律的に攻撃を行い、殺してしまうことも可能になる。
顔認証技術は既に世界中で監視に多く活用されている。特定の人(犯人など)を認識したらアラートを出して追跡したりすることも可能で、かなり精確に顔認識の判定を行うことができる。アルジャジーラの報道の中でもアメリカ政府が「ブラック・ライブズ・マター運動(Black Lives Matter)」で顔認証技術を活用したり、中国政府は日常的に国民や少数民族の監視、偵察に顔認証技術を活用していると伝えている。
AI技術の軍事への活用は積極的に行われており、アメリカ、中国、ロシア、イスラエル、トルコなどでは自律型兵器の開発が進められており、現実的な兵器となってきている。新たな技術の発展が軍事分野で利用されるのは歴史的にも常であり、そのようにして軍事技術も民生品も発展してきた。
ビルやマンションなどでの不法侵入者防止といった民生品分野でも多く活用されている顔認証技術が軍事分野でも利用されてきている。顔認証技術を開発、提供している民間企業としては民生品分野だけでなく軍事分野でも利用されれば、それだけビジネスも発展するので、軍事分野での顔認証技術の採用は歓迎だろう。
現在、世界で30か国が自律型殺傷兵器の開発や使用に反対しているが中小国がほとんどだ。アメリカやロシアなど大国は開発も使用も反対していないため、国際社会での足並みがそろっていない。中国は自律型殺傷兵器の使用には反対しているが、開発には反対していないことから、おそらく開発は進められているのだろう。
今回のCCWでも一致した結論は出ずに「これからも自律型殺傷兵器の開発や使用については継続して協議をしていく」となった。