米国カリフォルニア州のカーマイケルという人口6万人程度の小さな都市がある。そのカーマイケルにあるユダヤ教の教会シナゴーグに「ヒトラーは正しかった(Hitler was Right)」と書かれたヒトラーの演説する写真のポスターが10枚貼られていた。欧米では今でも反ユダヤ主義が根強く、今回のヒトラーのポスター掲載事件はネットでも大炎上している。ネオナチや白人至上主義者の犯行だろうと地元の警察も調査している。ユダヤ団体も危機と警戒を訴えている。

600万人以上のユダヤ人やロマ、政治犯を殺害したナチスドイツだが、ドイツなど欧州の諸国ではハーケンクロイツ(カギ十字)などナチスドイツや総統のヒトラーを想起させるものを掲げたりすることはナチス禁止法で禁止されている。公共の場でのナチス式の敬礼も禁止されている。

SNSでは大量に見かける反ユダヤ主義・ネオナチの隠語での投稿

日本人にとってはあまり馴染みがないかもしれないが、欧米や中東諸国では現在でも反ユダヤ主義が根強く、ユダヤ人はSNS上でもヘイトスピ―チや民族憎悪の対象になりやすく、ヒトラーやナチスドイツを想起させるものだけでなく、ホロコーストを想起させるような商品に対しても非常にセンシティブである。ネットやSNSではこのような「ヒトラーは正しかった」といった書き込みや投稿がたくさん掲載されては削除されている。ネット上でもこのように「ヒトラーは正しかった」という露骨な反ユダヤ主義に関する内容であれば、すぐに削除もできる。

だが、そのようなわかりやすい投稿はすぐに削除されるので、隠語や仲間内でしかわからないような言葉、新しい表現などで多く投稿されている。例えばナチスドイツの総統だったヒトラーを称える「ハイル・ヒトラー」は、「Heil Hitler」(ハイル・ヒトラー)の頭文字「H」がアルファベットで8番目であることから、「88」で「ハイル・ヒトラー(Heil Hitler)」を表している。そしてユダヤ団体のSNSなどに「88!」が書き込まれており、すぐに削除されている。日本ではSNSなどで「888888・・」と書いて拍手(拍手のパチパチの擬音語)を表現することがあるが、欧米では「ハイル・ヒトラー」の連呼の隠語である。

説明されないと何のことか、理解しがたいかもしれないが、このようなネオナチの隠語で、反ユダヤ主義の強い欧米ではネット上では多く見かける。しかし、このようにリアルな紙のポスターが10枚もシナゴーグに貼られることはめったになかった。欧米でもネット上では面白半分やふざけてヒトラー礼賛や反ユダヤに関する投稿をする人も多いが、リアルな紙のポスターでシナゴーグに10枚もポスターを貼るのは相当な反ユダヤ主義者やネオナチ、白人至上主義者であろうことから、カリフォルニアの小さな都市にも緊張感が走っており、ユダヤ団体も警戒を呼びかけている。