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米国 コミックで描く「ホロコーストとアメリカ」中高生向けの教材に

佐藤仁学術研究員・著述家
America and the Holocaust提供

米国のピッツバーグの歴史家でピッツバーグ大学やカーネギーメロン大学で教員をしているバーバラ・バルスティン氏がホロコースト時代にアメリカがヨーロッパのホロコーストにどのように対応していたのかを描いたコミック「America and the Holocaust」を発刊した。

専用サイトでは5ドル以下で購入できる。32ページで中高生でも読みやすく、理解しやすい。テイストも典型的なアメコミである。

バルスティン氏も中高生など若者をターゲットにして4カ月かけて作成。「アメリカが欧州でのホロコーストが行われていた時に、どのように対応していたのかを知ってもらいたいです。ここに描かれているのは歴史のほんの一部です。これをきっかけにホロコーストと、当時のアメリカの対応について、もっとたくさんのことを知ってもらいたいです」と伝えている。

ナチスドイツに占領されたヨーロッパでユダヤ人が大量虐殺されたホロコースト。ユダヤ人やロマ、政治犯など600万人以上が殺害された。アメリカやヨーロッパではホロコースト教育が行われており、学校の授業でホロコーストの歴史や現代の差別問題、反ユダヤ主義などについて勉強する。ホロコースト教育では、ホロコーストを経験した人々の体験を聞いたり、デジタル化された証言動画を見たり、ホロコースト映画を見ることも多い。子供向けのホロコースト教育に活用されるコンテンツは、日本でも海外でもほぼアンネ・フランクの「アンネの日記」だ。

だが、このようなコミックでホロコーストを伝えるものも特にアメリカでは多い。「マウス:アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語」(原題「Maus: A Survivor's Tale」)などが有名で、このようなコミックは欧米ではホロコースト教育にも多く活用されている。

▼「America and the Holocaust」

America and the Holocaust提供
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▼「マウス:アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語」紹介動画

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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