サウスカロライナ大学にアメリカ初の「アンネの家」開設:世界で4番目
第2次大戦時にナチスドイツがユダヤ人を迫害、約600万人を殺害したホロコースト。そのホロコーストの象徴的な存在が、アンネ・フランク。アンネ・フランクはナチスの迫害を逃れて、オランダのアムステルダムの隠れ家に身を潜めて生活をしていたが、密告によって逮捕され、強制収容所に送られ、戦争が終結する直前に収容所で死亡。隠れ家に隠れていた時の生活や思いを綴った日記が戦後になって発見され、ホロコーストを生き延びることができた父オットー・フランクによって「アンネの日記」として出版。今でも世界中の人々に読み継がれている。
1942年7月6日から1944年8月4日までの約2年間を隠れ家で生活し、ゲシュタポに捕らわれて、収容所で死亡した。現在、アムステルダムの「アンネの家」は世界的な観光地として有名だ。最近の新型コロナウィルス感染拡大防止のために、2020年3月から一時的に閉じていたが、現在では再開。コロナ前までは年間で120万人の観光客や世界中からホロコースト教育の授業の一環で学生らが訪問していた。
「アンネの家」を運営しているアンネ・フランク財団では、アンネ・フランクの生活やホロコースト時代のユダヤ人の歴史や、「アンネの家」を世界中の人に知ってもらうために、以前からデジタル化やオンラインでの展示にも注力している。2018年6月からはVR(仮想現実)で再現した「Anne Frank House VR」もリリースして、世界中からアクセスできる。また、新型コロナウィルス感染拡大以降はさらにデジタルやオンラインでの「アンネの家」やアンネ・フランク一家の生活を伝えることに注力しており、「アンネの日記」の動画版「アンネのビデオ日記(Anne Frank video diary)」を制作もしていた。
アムステルダム・ロンドン・ベルリン・ブエノスアイレスに次いで世界で4番目
そして、2021年9月からアメリカのサウスカロライナ大学のキャンパス内に、「アンネの家」が開設され、アンネ・フランク一家の隠れ家での生活やホロコースト時代の迫害されていたユダヤ人らの生活や歴史についての展示が行われる。アムステルダムの「アンネの家」にある家具などのレプリカも展示される。
「アンネの家」は、アンネ・フランク一家が隠れていたアムステルダムだけでなく、ロンドン、ナチスの拠点だったベルリン、戦後にナチス親衛隊のアイヒマンが逮捕されたように多くのナチが逃亡していたアルゼンチンのブエノスアイレスにもある。アメリカのサウスカロライナ大学の「アンネの家」は世界で4番目である。
サウスカロライナ大学の学長のハリス・パスティデス氏は「アンネの家をサウスカロライナ大学に設置するのは、私たち教育・研究機関にとっても、地域コミュニティにとってもとても重要なことです。アメリカの大学ではできなかったような研究をしていきたいです。当時、ホロコーストの時代に差別迫害されていた1人のユダヤ人の普通の少女の目を通して描かれた世界を学ぶことによって、これからの世界も変えていきたいです」と語っていた。
アンネ・フランク財団では上述のように、最近ではデジタル化、オンラインでの世界に向けた展示とアピールに注力しているが、やはりリアルに隠れ家の様子や、当時の彼らの遺物を目の当たりにすると圧巻されてしまう。