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ロシア軍 長距離軍事ドローンを2040年までに実用化:地元メディア報道

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

ロシアの軍事大学では軍事ドローンに特化したコースも提供

ロシア国防省は新たな攻撃ドローンを開発していると、ロシアのメディア・イズベスチヤがロシア軍関係者のコメントを元に報じている。それによるとロシア軍が新たに開発している攻撃ドローンは超長距離飛行が可能で、遠距離の敵地まで攻撃を行うことができる。2040年までに開発して実用化を目指している。ロシア軍が開発している軍事ドローンは"超"長距離への飛行ができるようだ。どのくらいの長距離かまでは明言していないが、ある程度の長距離であれば、2040年までもかからずに、もっと短期間で開発して実用化できるだろうから、おそらくアメリカまで射程に入っているのではないだろうか。

ロシア軍では平時での偵察ドローンだけでなく、紛争時の攻撃ドローンの積極的な活用を進めており、トレーニングも行っている。リャザン空挺軍大学では軍事ドローンのエキスパートをトレーニングする5年間のコースも開設して、修了したら指揮官として紛争時の軍事ドローンの指揮を執る予定。また同校では34か月(2年10カ月)の短期間コースも提供して、軍事ドローンのオペレーションのトレーニングを行っている。リャザン空挺軍大学では空軍だけでなく陸軍、海軍とあらゆる攻防において軍事ドローンは重要になると位置づけている。

イスラエルも長距離軍事ドローン開発

イスラエルの軍事企業のラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズも2021年6月に、AI(人工知能)技術を搭載した自律型ミサイルの「Sea Breaker」を開発したことを発表していた。「Sea Breaker」は300キロ先の標的まで精確に攻撃を行うことができる長距離攻撃ドローン。

AI技術の発展によって軍事でも積極的に活用されるようになってきている。ロシアだけでなくアメリカ、中国、インド、イスラエルなどでもAI技術を軍事に活用している。AIを搭載し、人間の判断を介さないで標的の人間を攻撃する自律型殺傷兵器が開発されようとしている。国連の安全保障理事会の専門家パネルでは、自律型兵器によってリビアで人間が殺害された可能性があると報告していた。

人間の判断を介さないで標的の人間を攻撃して殺傷することが非倫理的、非道徳的であることから国際NGOや世界30か国の政府、AI技術者らが自律型殺傷兵器の開発と使用には反対している。ロシアは反対していない。

▼イスラエルの開発した「Sea Breaker」の紹介動画

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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