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アイルランドの政治家 コロナ対策とホロコーストを比較して炎上:アウシュビッツ博物館「学習して下さい」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

ホロコーストによく例えられる新型コロナ対策、その度に炎上

アイルランドの政治家のマティー・マクグラス氏が新型コロナウィルスによるロックダウンの政策について、ホロコースト時代のナチスドイツの政策に例えて炎上していた。

欧米では「ロックダウンで外出が制限されたり、マスクの着用を義務付けられたりといった、不自由な生活=ホロコースト時代のユダヤ人がゲットーに閉じ込められて迫害された不自由な生活」、「政府による強制的なロックダウンやマスク着用=ナチスドイツの全体主義」というイメージを持つ人が多い。

そして欧米では新型コロナウィルスのパンデミックの不自由な状況やマスク着用の義務化をホロコーストに例えるたび、当時のユダヤ人の悲惨な境遇や生活とは異なると、「ホロコーストに例えることは犠牲になったユダヤ人に失礼だ」「迫害されていたユダヤ人とは状況が違う」などと言われていつもネットで炎上している。

アウシュビッツ博物館「オンライン学習でホロコーストの歴史を勉強して」

第二次世界大戦時にナチスドイツが支配下の地域でユダヤ人を差別、迫害して約600万人のユダヤ人、ロマ、政治犯らを殺害した、いわゆるホロコースト。そのホロコーストの象徴的な存在の1つがアウシュビッツ絶滅収容所。アウシュビッツ絶滅収容所では欧州のユダヤ人やロマ、政治犯ら110万人以上が殺害された。

そのアウシュビッツ博物館も公式ツイッターで、マクグラス氏の発言に対して、「欧州のユダヤ人を殺害したホロコーストの歴史について、オンライン学習で7つのコースを提供していますので、勉強して下さい」と訴えている。

欧米やイスラエルではホロコースト教育が積極的に行われており、ホロコーストの歴史などを後世に伝えている。アウシュビッツ博物館だけでなく、大学やユダヤ団体がデジタル化された様々なホロコースト学習の教材をオンラインで無料で提供しており、世界中の学校でのホロコースト教育に活用されている。

▼アウシュビッツ博物館がツイッターでマティー・マクグラス氏にオンラインでホロコーストの歴史学習を紹介。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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