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パキスタンとの国境地帯のインド空軍基地へ初のドローン攻撃

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

パキスタンのテロリストによる攻撃か:地元メディア報道

インドとパキスタンの国境地域のカシミールのジャンムーにあるインド空軍の基地に2021年6月にドローンによる攻撃が行われ、2か所が爆破され、2人が負傷した。屋根が吹っ飛ばされたようだが安全保障にかかわる重要施設への大きな影響はなかったようだ。地元警察ではパキスタンのテロリスト集団による攻撃だろうと推察しているとインドのメディアが報じている。パキスタンの当局は否定している。インドの空軍基地がドローンで攻撃されるのは初めて。

このような攻撃ドローンは「Kamikaze Drone(神風ドローン)」、「Suicide Drone(自爆型ドローン)」、「Kamikaze Strike(神風ストライク)」とも呼ばれており、標的を認識すると標的にドローンが突っ込んでいき、標的を爆破し殺傷力もある。日本人にとってはこのような攻撃型ドローンが「神風」を名乗るのに嫌悪感を覚える人もいるだろうが「神風ドローン」は欧米や中東では一般名詞としてメディアでも軍事企業でも一般的によく使われている。

今回、インド空軍基地へのダメージは大きくはなく、死者は出ていないが、「神風ドローン」の大群が上空から地上に突っ込んできて攻撃をしてくることは大きな脅威であり、標的である敵陣に与える心理的影響と破壊力も甚大である。ドローンはコストも高くないので、大国でなくとも、テロリストでも購入が可能であり、攻撃側は人間の軍人やテロリストが傷つくリスクは低減されるので、攻撃側にとって優位であり有益だ。

このような上空からの攻撃ドローンを迎撃するためのドローン迎撃システムやドローン迎撃銃なども開発されている。今回のインド空軍の基地へのドローンによる攻撃を踏まえて、インドはイスラエル企業が開発して販売している「SMASH 2000 Plus」というドローン迎撃銃を購入するのではないだろうかと地元メディアが報じている。

▼ジャンムーのインド空軍基地へのドローン攻撃を報じる地元メディア

▼ジャンムーのインド空軍基地へのドローン攻撃を報告するインド軍のツイッター

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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