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Google、イスラエルのテルアビブ大学と提携して「社会の利益のためのAI」研究

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:アフロ)

「社会学や人文科学とAI技術の懸け橋になるような研究を行っていきたい」

Googleはイスラエルのテルアビブ大学のAI・データサイエンスセンターと連携して、3年間のAI技術の研究と社会、経済、環境分野などでの10のプログラムで実証実験を行っていくことを2021年3月に発表した。

今回テルアビブ大学とGoogleは「社会の利益のためのAI(AI for Social Good)」をテーマに掲げて研究プロジェクトを行っていく。Googleが研究資金を提供する。テルアビブ大学の動物学、電気工学、経済学、統計学、社会学、コンピューターサイエンス、聖書学、地球科学、人類学、コミュニケーション学など幅広い研究者が「社会の利益のためのAI」をテーマに研究を行っていく。

「Social Good」は、そのままソーシャルグッドと訳されることも多く、環境問題や病気、紛争解決など社会課題の解決やSDGs(持続可能な開発目標)を実現するような活動、取組として世界規模で流行している用語だ。

テルアビブ大学の学長のアリエル・ポーラット氏は「技術的な研究だけでなく社会学や人文科学とAI技術の懸け橋になるような研究を行っていきたいです。Googleとはこれだけでなく、これから将来にわたって協力していきたいです」と語っている。

「社会の利益のためにAI技術のパワーを活用していけることを期待」

Googleイスラエルのヨッシ・マティアス氏は「AI技術はすでにあらゆる分野で大きなインパクトを与えています。今回のプログラムを通じて社会の利益のためにAI技術のパワーを活用していけることを期待しています」とコメントしている。

Googleは検索やGメール、YouTube、AndroidOSなど自社で提供しているサービスで世界中のデータや情報を収集し、機械学習を通じてAI技術開発力も世界有数である。そして、Googleでは世界中でAI技術を活用して洪水予測や病気の診断などすでに「社会の利益のためのAI」を提供している。またイスラエルはサイバーセキュリティやAI技術開発力に優れており、研究している大学や様々な技術やサービスを提供するスタートアップ企業が多い。

▼Googleとテルアビブ大学のAI技術研究の連携を発表する動画。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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