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フランス軍 ボストン・ダイナミクスの4足歩行犬型ロボットを軍事訓練で使用

佐藤仁学術研究員・著述家
Saint-Cyr Coëtquidan提供

フランス軍がボストン・ダイナミクスが開発した4足歩行の犬型ロボット「スポット(Spot)」を軍事訓練で活用している。現時点では軍事訓練校でのトレーニングで使用しており、実戦ではまだ活用されていない。フランス軍では犬型ロボットのスポット以外にもロボットの活用を進めようとしている。

フランス軍では将来の戦争に備えて、ロボットが戦場でどのように活用できるかを検討しており、今回はそのための訓練で犬型ロボットのスポットがいる場合と、いない場合での戦場での戦い方のシミュレーションなどを実施。地元メディアが軍事訓練の様子も報じている。スポットには武器も搭載されていないので攻撃などは行っていない。

戦場でのロボット活用は進んでおり、特に3D業務(Dangerous:危険な、Dull:退屈な、Dirty:汚い)は人間の軍人よりもロボットの方が適している。ロボットによる攻撃だけでなく偵察、監視、ロジスティックに適している。また敵からの攻撃を受けても、人間の軍人のように命を落とすこともない。軍人の人間の安全保障を確保できることからロボットの戦場での活用は有益である。人間の軍人のように疲れることもなく24時間稼働できるし、不平不満も言わない。また破壊されても他のロボットで代替できることから、これからもますますロボットの導入が進められていくだろう。

一方でAIを搭載したロボットが自身で標的を判断して攻撃を行い敵を殺傷させる「キラーロボット」と称される自律型殺傷兵器の開発と使用については国際NGO団体などが、人間の判断を介さないでAIを搭載したロボットの判断で標的を攻撃することが非倫理的だという理由で反対をしている。

▼フランス軍の軍事訓練で利用されている犬型ロボット「スポット(Spot)」やロボットを報じる地元メディア

Saint-Cyr Coëtquidan提供
Saint-Cyr Coëtquidan提供

Saint-Cyr Coëtquidan提供
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学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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