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ノーベル平和賞受賞者のジョディ・ウィリアムズ「2021年の平和な社会への最大の脅威はキラーロボット」

佐藤仁学術研究員・著述家
ジョディ・ウィリアムズ(右)(写真:ロイター/アフロ)

「平和を維持するためには人間の安全保障にフォーカスをあてるべき」

ジョディ・ウィリアムズ氏は地雷禁止国際キャンペーンの創始者であり、その功績から1997年にノーベル平和賞を受賞。そのジョディ・ウィリアムズ氏が2021年3月にRealLeadersのインタビューに応じて、戦争と平和について語っていた。ジョディ・ウィリアムズ氏は自律型殺傷兵器の開発と使用についても反対している。キラーロボットとも称される自律型殺傷兵器はAI技術を搭載した兵器が、人間の判断を介さないで標的を攻撃する。標的を殺傷するのに人間の判断や意志決定を介さないことが非倫理的であると国際NGO団体や世界30か国が自律型殺傷兵器の開発と使用に反対している。

ジョディ・ウィリアムズ氏は「あなたにとって平和とは何ですか?」との質問に、「平和とは単に紛争がないことではありません。持続可能な平和の構築が必要です。私にとっての持続的な平和とは、国家の安全保障でなく、人間の安全保障に基づいたものです。核兵器や兵器の近代化はもうこれ以上必要ありません。特に、兵器自身が標的を識別して、人間への攻撃を行い殺傷する自律型殺傷兵器は不要です。我々人間は必要な資源だけを使えば良いです。兵器は不要です。人々は平等な教育、安心な家庭、健康的な生活など尊厳ある人生を送るべきです。平和を維持するために我々は人間の安全保障にフォーカスをあてるべきです。国家のインフラを守る国家の安全保障ではなく、人間一人一人の安全保障が重要です。平和と人間の安全保障は人々の中心にあるべきです」と語っていた。

「AI技術と兵器が"結婚する"ことは、人類にとって破滅的」

またジョディ・ウィリアムズ氏は「2021年の平和な社会にとって最大の脅威は何ですか?」との質問に、「国際社会には兵器開発が私たちの安全を守る重要な手段だと信じている人が多いです。でもそのような考えは浅はかです。2021年の平和な社会への最大の脅威は核兵器とキラーロボットや自律型殺傷兵器など兵器の近代化です。兵器が完全に自律化して、人間の判断を介さないで、人間を殺傷することです。AI技術と兵器が"結婚する"ことは、人類にとって破滅的なことです」と語っていた。

ジョディ・ウィリアムズ氏のような平和活動家や国際NGO団体らがキラーロボットや自律型殺傷兵器の開発と使用に反対を強く主張している。だがAI技術の軍事での活用は推進されており、アメリカ、中国、ロシア、イスラエル、韓国などは積極的にAI技術を軍事に導入しようとしており軍事開発競争は止まらない。

▼自律型殺傷兵器について反対を主張しているジョディ・ウィリアムズ氏の動画

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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