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ドイツ プールや湖で溺れた人を救ってくれる「自律型水難救助ロボット」開発

佐藤仁学術研究員・著述家
ISOBが開発した自律型水難救助ロボット(IOSB提供)

ドイツの研究機関Fraunhofer Institute for Optronics, System Technologies and Image Exploitation (IOSB) が自律型水難救助ロボットを開発したことを発表した。

ドイツでは2019年の1年間に420人の人が湖やプールで溺れている。特にプールでは専門的なトレーニングを受けたライフガードが少なく、溺れて死亡してしまう事故が多い。ライフガードのトレーニングをしっかり受けていても、実際に溺れている人を救ったことがある人は少ないし、実際に溺れている人がいた時に機敏に冷静に対応することは容易ではない。そこでIOSBでは湖やプールで溺れている人をロボットが発見したら、自律的に水の中に救助に向かうロボットを開発した。自律型水難救助ロボットは世界でも類をみない。

自律型水難救助ロボットには監視用カメラも搭載されており、プールや湖で溺れている人を認識できる。溺れている人を認識、発見したら、ドッキングステーションからロボットが出動して水の中に救助に向かい、溺れた人を乗せて陸地まで戻る。救助までは自律型水難救助ロボットが行うが、人工呼吸などは人間が行う必要がある。水深3メートル、陸地まで40メートル、80キロの救助の試験に成功している。IOSBではこのロボットの技術を活用して、今後は水中の考古学の発掘にも応用していこうとしている。

IOSBの開発した自律型水難救助ロボットは湖とプールで溺れている人が対象で海と川で溺れている人の救助は行わない。流れが激しい水の中で溺れてる人をロボットが検知して救助に向かうのはまだ難しいようだ。

IOSBが開発した自律型水難救助ロボット(IOSB)
IOSBが開発した自律型水難救助ロボット(IOSB)

IOSBが開発した自律型水難救助ロボット(IOSB提供)
IOSBが開発した自律型水難救助ロボット(IOSB提供)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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