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ロシアの検索大手Yandex、モスクワで自動運転ロボットによるファーストフード宅配サービス開始

佐藤仁学術研究員・著述家
(Yandex提供)

 「ロシアのGoogle」とも呼ばれているロシアの検索サイト大手のYandexが、モスクワで自動運転ロボットによる宅配サービスを2020年12月から開始した。同社が提供している「Yandex.Eats」のアプリで注文するとファーストフード店の商品を自宅や会社などまで、自動運転ロボット「Yandex Rover」が運んでくれる。

(Yandex提供)
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(Yandex提供)

 客から注文があると、自動運転ロボットがファーストフード店まで行き、そこで店員が自動運転ロボットに商品を入れると、自動運転ロボットが配達先まで配送する注文した客だけがロボットを開ける番号を知っており、商品を手に取ることができるので、自動運転ロボットが配達してきて、商品が入っていないということはないようだ。

 Yandexでは自動運転ロボットによる宅配の動画も公開しており、6つの車輪がついた自動運転ロボットがロシアの物凄く寒い冬の雪道でも問題なく走っていく様子も映っている。Yandexの自動運転を開発しているドミトリー・ポリシュチュック氏は「この自動運転ロボットは、他にもレストランの食事や野菜、オンラインストアでの商品も配達するようになります。これから、モスクワだけでなく配達地域も拡大します。近い将来、ロシアの日常生活の見慣れた光景になることでしょう」と語っている。

 ロシアでも新型コロナウィルス感染拡大によって、多くの人が外出自粛を余儀なくされている。そのため多くの人が食料品や日常品の宅配やデリバリーサービスを利用している。それらは日本での宅配と同じように人間が運んできてくれる。Yandexでは新型コロナウィルスが登場する数年前から自動運転ロボットによる宅配サービスを検討し試験を行ってきた。ロシアの冬はとても寒く、雪も厳しい。宅配を配達する人たちもかなり苦労している。だが、人間と違ってロボットは雪が降っていても寒さを感じないし、疲れない。

 Yandexの担当者が語るように、近い将来にはロシアだけでなく、世界中で自動運転ロボットによる宅配が当たり前の景色になるだろうし、自動運転ロボットによるデリバリーが定着すると、今まで配達をしていた人たちの仕事もなくなり、配達費用も安くなると、雇用形態と産業構造も大きく変わる。

▼Yandexが公開している自動運転ロボットによるデリバリーの動画

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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