英国軍司令官「近い将来、軍隊業務の4分の1はロボットに置き換わるかもしれない」
イギリス軍の司令官のニック・カーター氏は2020年11月8日に英国のメディアSky Newsのインタビューに応じて、今後のイギリスの安全保障について語っていた。インタビューの模様はYouTubeでも公開されておりタイトルが「World War Three'a risk', says UK defence chief」(英国軍の司令官が語る第3次世界大戦の"危機")というインパクトあるタイトルのため公開数日で30万回以上再生されている。
ニック・カーター氏は、AI技術が発展することによってロボットが戦力の大部分を占めるようになり、近い将来、自律型兵器やシステムが軍全体の兵力の4分の1を占めるようになり、人間の軍人の業務の代わりとなるだろうと示唆している。また従来の陸海空軍だけでなくサイバースペースと宇宙空間での軍事競争の重要性も訴え、AI技術が軍事技術の発展において重要な役割を果たすとのこと。ニック・カーター氏は2030年代に向けたビジョンも共有し「今後の軍事力はサイバースペースと宇宙空間が重要になり、そのような空間が戦場になるということは今までのようなスキルセットとは異なる軍人を雇用していかないといけない。そしてどのような場所であっても自律型のプラットフォームとロボットは不可欠になるでしょう」と見解を述べていた。
そして「例えば12万人の軍人のうち、4分の1の3万はロボットに置き換わるかもしれない。それは誰にもわからない」と語っていた。英国軍ではロジスティクなどではAIを活用した乗り物を活用することに興味を示している。ニック・カーター氏は、最新の技術で英国軍の近代化を図っていくために長期的な視点で投資をしていくことは重要であることも強調している。
実際に3D(Dangerous:危険、Dirty:汚い、Dull:退屈)な業務は人間の兵士よりもロボットの方が適している。特にリアルタイムに遠隔地から人間が監視して操作や攻撃などの指令を行う場合はAIを搭載したロボットの方が効率的で精確だ。一方で、自律化された兵器が人間の判断を介さないで兵器自身が標的を判断して攻撃し、相手を殺傷してしまう「キラーロボット」と称される自律型殺傷兵器の開発にもつながるため、NGOなどが開発禁止を呼びかけている。自律型殺傷兵器は世界で30か国が開発や使用禁止を訴えているが、法律で縛られていないので、自律型殺傷兵器を開発、使用しても罰則はない。そして英国はそのような自律型殺傷兵器の開発には反対していない。
▼英国メディアSky Newsの取材に答えるニック・カーター氏