Yahoo!ニュース

中国、徘徊型攻撃「神風ドローン」試験実施へ

佐藤仁学術研究員・著述家
(Eurasian Timesより)

 中国の国営企業China Electronics Technology Group (CETC)が徘徊型の攻撃型ドローンを開発し、テストを行っていると欧米や中国のローカルメディアが報じていた。動画も公開されている。「Kamikaze Drone(神風ドローン)」「Suicide Drone(自殺ドローン)」とも呼ばれており、標的を認識すると突っ込んでいき標的を破壊するドローンを開発して、実戦での利用に向けて試験を行っている。映像ではタンクから発射される徘徊型ドローンやヘリコプターから散布される徘徊型ドローンを操縦者が地上でタブレットで操作して標的を認識すると小型のドローンが突っ込んで攻撃を行っている。

 アルメニアとアゼルバイジャンの紛争でも使用され、その効果が明らかになった「Suicide Drone(自殺ドローン)」「Kamikaze Drone(神風ドローン)」だが、中国でも本格的な導入に向けての試験を行っているようだ。このような「Kamikaze Drone(神風ドローン)」「Suicide Drone(自殺ドローン)」と呼ばれる小型の徘徊型攻撃ドローンが突っ込んで標的にダメージを与えたり、敵側の人々を殺傷したりする戦闘方法が主流になっていくのだろう。「神風(Kamikaze)」がこのようなところで使われるのに不愉快な想いをする日本人も多いかもしれないが、「Kamikaze Drone(神風ドローン)」は一般名詞になっており欧米や中東のニュースではよく見かける。

 地上でタブレットを見ながら空中を徘徊しているドローン標的を見つけたら、地上から攻撃を仕掛けるだけなので攻撃する側にとっても効率的であり、コストもそれほどかからない。だが、ドローンが突っ込んで来られた標的は建物などを破壊されたり、人々が殺傷されたりするなど敵側には大きなダメージを与えることができる。また現在のドローンは地上で人間がタブレットで操縦して攻撃を行っているが、今後AI(人工知能)の発達によって、AIを搭載した徘徊型攻撃ドローンが、人間の判断を介さないでAIが標的を認識して判断して攻撃を行うようになる可能性もある。

▼英国メディア「The Sun」が動画で公開している中国の徘徊型攻撃ドローン試験の様子

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

佐藤仁の最近の記事