アルメニア、アゼルバイジャンからのイスラエル製の神風ドローンによる攻撃 イスラエルに提供停止を訴え
アゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる軍事衝突が発生してから1週間が経ち、両国で約200人が死亡し、1994年の停戦合意以降で最大規模の衝突となっている。トルコが支援するアゼルバイジャンとロシアと軍事同盟を結んでいるアルメニアとの間で緊張状態が続いている。
アルバイジャンはイスラエル製の攻撃型ドローンを用いて攻撃を行っていることが明らかにされている。攻撃型ドローンは「kamikaze drone(神風ドローン)」、「Suicide drone(自爆型ドローン)」、「kamikaze strike(神風ストライク)」とも呼ばれており、遠隔からの操作で標的にドローンが突っ込んでいったり、砲撃を行って標的を爆破し殺傷力もある。日本ではアルメニアとアゼルバイジャンの紛争が報じられることは少ないが現地のメディアでは「神風ドローン」という用語が多く登場している。無人ドローンのため攻撃を行う側のリスクも小さく、コストもかからない効果的で効率的な兵器である。攻撃には遠隔地からの人間の目視による判断で攻撃が行われるので、ドローン自身にAIが搭載されていてドローンが判断して標的に突っ込んだり攻撃を行うことはない。
アゼルバイジャンはイスラエルにとっても重要な関係国で、ストックホルム国際平和研究所によると2017年の1年間でアゼルバイジャンはイスラエルからの1億3700万ドルの兵器を購入し、イスラエルにとっては軍事輸出で3番目に多い。2016年にアゼルバイジャン西部のナゴルノカラバフで、分離独立を掲げるアルメニア系の武装組織が、アゼルバイジャン軍との戦闘を行った際にも、アゼルバイジャンの「神風ドローン」によってアルメニアを攻撃し、7人の戦闘員を殺害したことがある。
アルメニア政府は同国のイスラエル大使に対してアゼルバイジャンに神風ドローンを販売しないようにと訴えている。アルメニア外務省の広報担当者は神風ドローンを「超近代的兵器(ultra-modern weapons)」と表現している。イスラエル政府もアルメニアからの抗議を受けて遺憾の意を表明したが、アゼルバイジャンに対して神風ドローンの販売を停止するとは述べていない。アゼルバイジャン軍の兵器の60パーセントはイスラエルから提供されたものであり、イスラエルがいなければ、アゼルバイジャンは戦えない。
アゼルバイジャンの大統領補佐官のヒクメト・ハジエフ氏は「イスラエル製の神風ドローンによる攻撃は効果的だ」と語っていた。アゼルバイジャンの国防省はアルメニアに対する攻撃の動画も公開している。
▼アゼルバイジャンによるアルメニアへの神風ドローンでの攻撃の様子