韓国YouTuberがホロコースト否定論投稿:米サイモン・ウィーゼンタール・センターが削除要求

サイモン・ウィーゼンタール・センター(写真:ロイター/アフロ)

 韓国のYouTubeチャンネル「Spika Studio」がホロコースト否定を主張する韓国語の動画を投稿。動画の中ではホロコーストはなかった、アンネフランクは嘘であり、ユダヤ人がアメリカを50年以上にわたって支配しているといったことを伝えている。それに対して、アメリカのロサンゼルスに拠点を置くユダヤ団体サイモン・ウィーゼンタール・センター(Simon Wiesenthal Center:SWC)が早急に削除することを要求している。

(サイモン・ウィーゼンタール・センターが削除を要求している韓国Spika Studioの動画より)
(サイモン・ウィーゼンタール・センターが削除を要求している韓国Spika Studioの動画より)

 第二次世界大戦でナチスドイツが約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコースト。欧米やアラブ諸国では現在でも反ユダヤ主義が根強いことから、「ホロコーストはなかった」「アウシュビッツにはガス室はなかった」といったホロコースト否定論が多い。そして現在でも、YouTubeだけでなくFacebookやTwitterなどあらゆるSNSでホロコースト否定論は投稿、拡散されている。そのようなホロコースト否定論が、さらなる反ユダヤ主義を助長するということとホロコーストの正しい歴史を知ってもらうという必要があることから、世界中のユダヤ団体やホロコースト記念館などがホロコースト否定論を否定している。

  サイモン・ウィーゼンタール・センターのラビのアブラハム・クーパー氏は「この動画は、ナチスによる約600万人のユダヤ人殺害を否定しています。ここロサンゼルスではアメリカ系ユダヤ人と韓国系アメリカ人が仲良く生活をしてます。また、我々の団体は韓国の人権団体と一緒に北朝鮮で苦しんでいる人々のためにも活動をしています。その中では北朝鮮での人権問題の解決に向けて取り組んでいます。このような動画を韓国語で韓国人の方々に配信することは、ホロコーストの生存者と犠牲者、さらにユダヤ人に対して大変失礼な行為です。そして韓国人に対して嘘のメッセージを伝えるようなこの動画の早急な削除を求めます」と訴えていた。

 サイモン・ウィーゼンタール・センターは、ホロコースト生存者のサイモン・ウィーゼンタール氏が1977年にアメリカに設立した。ユダヤ人だったウィーゼンタール氏は13の収容所を転々と移送され、何度も死にかけたが、どんな時でも人間として尊厳を保ち続けていたそうだ。そして、戦後もホロコーストで犠牲となって死んでいった人々の尊厳と正義を取り戻すために、余生を費やした。ウィーゼンタール氏は「ホロコーストは、ある日突然やってきたのではない。ナチスは何百年も続いてきた人々のユダヤ人への偏見を利用して、段階的にユダヤ人の権利を奪っていった。そしてプロパガンダを使って、ユダヤ人は人間以下の生き物だという考えを人々に植え付けていった。最初の頃ユダヤ人は、文明国であるドイツの国民が、ヒトラーのような狂信的な人物に惑わされることなど、まさかないだろうと思っていた。でも気が付いた時には、もう遅かった。最初からユダヤ人虐殺計画をガス室と焼却炉を使ってスタートしたのではない。小さな偏見が、最終的に恐ろしい悲劇を生み出す恐れがある」と語っており、日常の小さな差別やいじめが最終的には大量殺戮に繋がる危険性があることを危惧していた。

 そして「2度とホロコーストの悲劇を繰り返さない」という強い信念を持って全世界の反ユダヤ主義やナチスに関わる動向を監視している団体である。現在でも多くのユダヤ人から多額の寄付が集まり、アメリカ各地や欧州、南米にも拠点があり、ネットやSNS上での反ユダヤ主義やヘイトスピーチ、ホロコースト否定なども徹底的に監視している。また2016年10月に日本のアイドル欅坂46がナチス風の衣装を着てコンサートを行った際にもプロデューサー秋元康氏とソニー・ミュージックに対して強い怒りを露わにし、謝罪を要求したり、2018年11月には、韓国の男性タレントグループ「BTS(防弾少年団)」がナチスドイツ時代のナチス親衛隊(SS)のシンボルマークがついた帽子をかぶっていたり、コンサートでナチス親衛隊を想起させる旗を掲げていたとして抗議文を発表していたのも同センターである。

▼サイモン・ウィーゼンタール・センターが削除を要求している動画