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トルコ軍、2020年に自動顔認証を搭載した「神風ドローン」導入へ

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 トルコ軍は2020年の兵器のポートフォリオに、生体認証で顔認証ができる「神風ドローン」を追加することを明らかにした。「神風ドローン」とは敵の標的に対して突っ込んでいき、標的を爆破したり、人を攻撃するドローン。英語でも「Kamikaze drone(神風ドローン)」として、神風という言葉は定着している。上空から標的に対して無差別に攻撃をしかけてくる神風ドローンは脅威だ。

 今回、トルコ軍がポートフォリオに追加する「神風ドローン」は従来の神風ドローンのように、敵の標的に突っ込んでいき爆破するだけでなく、標的の顔を認識して、その人に対してドローンが突っ込んでいき攻撃ができるようになる。オランダのNGOのPAX(パックス)が発行したレポートで、人工知能(AI)を搭載したドローンが人間の顔を認識し、標的と判断して自動で攻撃をしかけることに対して警鐘を鳴らしている。またレポートにおいて、人間の判断を仲介しないで、AIを搭載したドローン自らの判断によって、人を殺害することはAI搭載兵器のネガティブな面であり、今後、自律型殺傷兵器(Lethal Autonomous Weapon Systems:LAWS)開発に繋がると懸念を示していると同時に、各国政府による国際的な条約による規制を呼びかけている。

 2019年11月にはトルコが軍事作戦で制圧し、トルコ軍が管理しているシリア北部で、爆弾テロが続いている。トルコ政府はクルド人武装組織の犯行と非難している。トルコ軍に神風ドローンを供給しているSTM社は、ALPAGU、KARGU、TOGANなどのドローンがある。同社のCTOのOmer Korkut氏は「我々が開発して提供している軍事技術はトルコとその周辺地域安全保障にとって非常に重要である。我々は極東から南米まで、全世界の軍事市場においても成長し続けており、既に20か国に軍事技術を輸出している」と語っている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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