エスパー米国防長官、中国政府によるAI搭載自律型ドローン兵器の開発と中東への輸出を懸念

(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 アメリカのエスパー国防長官は2019年11月に国家安全保障会議においてAI(人工知能)についてスピーチを行った。その中で、エスパー国防大臣は、中国で軍事用の自律型ドローン(UAV)が大量に拡散されていることに対して懸念を表明した。特に戦場や紛争においてAI技術の使用について、中国政府には制限や倫理的なガイドラインがないことが非常に危険であると強調。

 AI技術の発展は軍事分野でも活用が進んでいる。人間の軍人が行っている3D業務(Dirty:汚い、Dull:退屈な、Dangerous:危険)はAIを搭載したロボットの方が適切であり、実際に既に監視業務などはロボットやドローンによる代替が進んでいる。今後、AI技術のますますの発展によって、自律型殺傷兵器(Lethal Autonomous Weapon Systems:LAWS)やキラーロボットと称されている、人間の判断を介さないでAIを搭載した兵器やドローンがロボット自身の判断で標的や人間を攻撃してくることが懸念されている。特に市民か軍人かの判断は難しいといわれ、人間の判断を介さないで、ロボットが人の生死を決めることに対する倫理的、人道的な側面での懸念が高い。一方で、AIの軍事活用によるコスト削減と軍人のメンタル面でのストレス低減にもつながるためAIを軍事に積極的に導入しようとされている。

 エスパー国防長官は、AIを搭載した自律型ドローン兵器が中国から中東諸国に輸出されており、そのようなドローン兵器が現地の市民の抑圧に使われていることにも懸念を表明。さらに「中国の自律型ドローン開発とその技術力はアメリカや西側同盟国よりも優れており、AI技術の発展によって、自律型ドローン兵器がますます安価で製造できるようになり、ますます殺傷能力を強くしている」とも語っていた。

 また同氏は「中国政府は2030年までにAI技術で世界のリーダーになろうとしていることは明らかである。アメリカもAI技術を軍事に活用しようと強力に推進しているが、中国は我々アメリカの現在のAI技術の開発力を凌駕し、さらに次世代のAI技術までいっきに行こうとしている」と中国のAI技術開発力がアメリカを上回る勢いにあることについて言及。「そして中国政府は既に、そのような先進的なAI技術を搭載した自律型ドローン兵器を中東に輸出している。さらに中国は自国の兵器が自律性に優れており、殺傷能力が強いことをアピールしている」と語っていた。

 エスパー攻防長官は、アメリカ政府は中国政府と異なり、軍事でのAI活用の倫理面におけるガイドラインを制定していることも強調。「アメリカはAI技術を軍事やロジスティックなどあらゆる面で活用していく。またアメリカは軍事におけるAI活用においては倫理面でもリーダーであることを認識しているので、国際法を遵守した倫理的かつ道徳的なAI技術の開発と利用をしていく」と語り、中国政府との違いを強調。