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イスラエル、アゼルバイジャンに「神風ドローン」提供:標的に上空から激突攻撃

佐藤仁学術研究員・著述家
(AZERIDEFENSE提供)

 イスラエルの軍事企業Elbit Systemsは、アゼルバイジャンに「殺人型ドローン」を販売することを明らかにした。「殺人型ドローン」は英語で「kamikaze strike(神風ストライク)」、「kamikaze drone(神風ドローン)」、「Suicide drone(自爆型ドローン)」とも呼ばれている。「神風特攻隊」にその名前が由来しているように、標的にドローンが突っ込んでいき標的を爆破して破壊する。ドローンなので無人機で遠隔からの操作によって標的に激突していく。

精確に標的を攻撃し破壊能力も強い「神風ドローン」

 Elbit Systems社の「神風ドローン」は「SkyStriker」という製品で、約2時間ほど徘徊することが可能で、ほぼ精確に標的を攻撃し、破壊能力も強い。「SkyStriker」をイスラエル以外の国で導入するのはアゼルバイジャンが初めて。アゼルバイジャンはイスラエルにとっても重要な関係国で、ストックホルム国際平和研究所によると2017年の1年間でアゼルバイジャンはイスラエルからの1億3700万ドルの兵器を購入し、イスラエルにとっては軍事輸出で3番目に多い。

ナゴルノカラバフでも戦闘員7人を殺害した「神風ドローン」

 2016年にアゼルバイジャン西部のナゴルノカラバフで、分離独立を掲げるアルメニア系の武装組織が、アゼルバイジャン軍との戦闘を行った際にも、アゼルバイジャンの「神風ドローン」によってアルメニアを攻撃し、7人の戦闘員を殺害したことがある。

 アルメニア大使のArmen Melkonyan氏はイスラエルに対して、イスラエルはどちらの勢力にも味方をしないように抗議を行った。同氏は「アルメニアとアゼルバイジャンは両国ともイスラエルの友好国なのだから、ナゴルノカラバフでの戦いにイスラエルの兵器が利用されるのは信じられない」と語っていた。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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