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英国、Googleで「反ユダヤ主義」に関する検索が1年間で17万件:1割が過激で暴力的な内容

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 イギリスでは1年間に約17万の「反ユダヤ主義」のワードがGoogleで検索される。そのうち10%が「ユダヤ人は殺せ!」といった過激で暴力的なワードであることが、Community Security Trust (CST) の調査で明らかになった。現在でも欧米ではユダヤ人に対する憎悪、いわゆる反ユダヤ主義が根強く残っている。

 Community Security Trust (CST) では2004年から14年にわたってGoogleで検索されてきた結果を調査している。調査によると反ユダヤ主義的なワードは深夜2時から3時に検索されることが多い。またイギリスでもウェールズ地方での反ユダヤ主義の検索が他の地域よりも大きく、スコットランドでの検索は少ないことが明らかになった。

 ユーロビジョン・ソング・コンテストでイスラエルが勝った時にも反ユダヤ主義の検索は増加。さらに、2018年4月に、労働党でヒトラー擁護と取れる発言が相次いだ時には反ユダヤ主義の検索が79%増加。またユダヤ人の「ロスチャイルド家」に関する検索も3年間で39%増加した。

 調査を担当したSeth Stephens-Davidowitz氏は「毎年、ホロコースト記念日には、ホロコーストはなかったという『ホロコースト否定』に関する検索が通常よりも30%増加している。そして反ユダヤ主義やユダヤの陰謀に関する検索が増加している」とコメント。Community Security Trust (CST) のDave Rich氏は「検索エンジンを提供する会社は差別や偏見に関する検索やヘイトスピーチ拡散に対する責任がある」と語った。

 Googleのスポークスマンは今回の調査結果を受けて「Googleは偏見や人種差別、ヘイトスピーチに関する不適切な検索結果の表示の防止に努めている」とコメント。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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