イスラエル、ネタニヤフ首相「イランから毎日、インフラへのサイバー攻撃を受けている」
「イランからのサイバー攻撃に屈することはない」
イスラエルのネタニヤフ首相は2019年1月にテルアビブで開催された「サイバーテック・カンファレンス2019」において、「イスラエルのインフラは毎日イランからのサイバー攻撃を受けている」と語った。
ネタニヤフ首相は「イスラエルは、イランからのインフラへのサイバー攻撃を常にモニターしている。24時間以内にもイランからのサイバー攻撃で、イスラエルの都市をミサイルの標的にして破壊するという警告を受けている。だが、イスラエルはイスラエル自身のサイバー攻撃力と防衛力をよく理解しているので、イランからのサイバー攻撃に屈することはない」と続けた。
またネタニヤフ首相は「インフラの中でも、航空機の脆弱性を狙ったサイバー攻撃で、100通り以上の異なるサイバー攻撃が行われている。あらゆるシステムが脆弱性の固まりであり、サイバー攻撃の標的とされている」ともコメント。
「イスラエルのサイバーセキュリティは軍事力から」
イスラエルは、イランのような周辺諸国や世界中の反ユダヤグループなどから常時、サイバー攻撃の標的にされているため、サイバー防衛技術や攻撃力は世界でも有数の最強国だ。ネタニヤフ首相はイスラエルのサイバー防衛技術についても触れ、「イスラエルのサイバー技術は軍事力から来ており、軍事で培ったサイバーパワーが民間でも有効活用されている」とコメント。
イスラエルには多数のサイバーセキュリティ関連のスタートアップ企業が多い。それらサイバーセキュリティ産業を支えている多くが8200部隊の出身者だ。8200部隊とはイスラエル参謀本部の一部署で、同国のサイバー諜報活動やサイバー攻撃・防衛を担っている精鋭部隊だ。イスラエルでは高校卒業後に兵役の義務があるが、優秀な上位1%のみが8200部隊に配属され、配属にはプログラミングや数学、ハッキング技術、語学などが優秀な成績である他にチームワーク、協調性、リーダーシップなど人間的な面でも評価される。8200部隊出身者らが作ったり、働いたりしているサイバーセキュリティ企業が非常に多い。
世界規模で個人の生活、経済、社会、安全保障までがサイバースペースに依拠している。これは日本でもイスラエルでも変わりはない。特に周辺国との緊張関係を抱えているイスラエルにとってのサイバースペースは国家の存続にとって死活問題でもある。イスラエルにとって「サイバースペースの防衛」は「国土の防衛」と同義だ。イスラエルにとって国家は2000年来の悲願であり「絶対死守すべき空間」である。イスラエルにとってはサイバースペースも同様に「他者からの侵入に屈してはいけない空間」なのだ。