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「アンネ・フランクの隠れ家」をVRで再現:アンネ89年目の誕生日にリリース

佐藤仁学術研究員・著述家
(Anne Frank House VR)

アンネの89年目の誕生日にリリース

 第2次大戦中にナチスドイツのユダヤ人迫害を逃れるために、オランダのアムステルダムの隠れ家で生活をしていたアンネ・フランク。「アンネの日記」でお馴染みだが、1942年7月6日から1944年8月4日までの約2年間を隠れ家で生活し、ゲシュタポに捕らわれて、収容所で死亡した。現在、アムステルダムの「アンネの家」は世界的な観光地として有名だ。

 そのアンネ・フランクが住んでいた隠れ家をVR(仮想現実)で再現した「Anne Frank House VR」が2018年6月12日にOculusからリリースされた。6月12日はアンネ・フランクの誕生日。生きていたら89歳だった。

体の不自由な人でもVRで「アンネの家」を体験へ

 アンネ・フランクハウスと協力してForce Field社が開発。無料で、英語・ドイツ語・オランダ語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語・ヘブライ語に対応。アンネ・フランクハウスのExecutive DirectorのRonald Leopold氏は「VRで世界中の人にアンネの当時の生活を理解してもらうことができる。さらに世界中に蔓延している反ユダヤ主義、差別主義、人種差別の危険性を訴え、民主主義や平等と自由の重要性を伝えることにも貢献できれば良い」と語っている。

 アンネの家には、遺族の希望で現在では家具等はないが、VRの世界では当時を再現した家具やベッドなども設置されている。このVRは体が不自由で「アンネの家」を訪問して階段の上り下りができない人でも、当時の様子をVRで体験したり、全世界で教育用にも活用することを目的としている。

▼Anne Frank House VR

隠れ家の入り口をVRで再現(Anne Frank House VR)
隠れ家の入り口をVRで再現(Anne Frank House VR)
隠れ家の様子をVRで再現(Anne Frank House VR)
隠れ家の様子をVRで再現(Anne Frank House VR)
当時の生活をVRで再現。「アンネの家」には実際のベッドや家具はない(Anne Frank House VR)
当時の生活をVRで再現。「アンネの家」には実際のベッドや家具はない(Anne Frank House VR)
学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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