米国、サイバー軍の強化:先制サイバー攻撃による抑止力も強化

(写真:ロイター/アフロ)

先制してサイバー攻撃へ

 2018年6月17日のニューヨーク・タイムズによると、トランプ政権はアメリカのサイバー軍を強化していくことが明らかにされた。同紙によると、サイバー軍は今後、海外からのサイバー攻撃能力を無力化するために、サイバー攻撃を先制して仕掛けることができるようになると報じられている。ニューヨーク・タイムズは戦略文書と軍と諜報機関関係者の話を元に報じている。

 今までは、アメリカはIS(イスラム国)のオンラインでのリクルーティング活動の阻止等を除いては、オフィシャルにサイバー攻撃を先制攻撃しているとは明言していなかった。現在サイバー軍には133チームあるが、ほとんどが他国からのサイバー攻撃に対する防衛が中心だ。2017年8月に、トランプ大統領は、国防総省の戦略軍の傘下にあったサイバー軍を統合軍(UCC)に格上げし、他の軍と同等にしていた。

 アメリカのサイバースペースにおける敵国はロシア、中国、北朝鮮であり、それは現実(リアル)の世界でも同じ。情報摂取やシステム破壊など攻撃手段や目的は様々だが、アメリカは数年にわたって、これらの国からの過度なサイバー攻撃を受けてきた。新たなサイバー軍によるサイバー先制攻撃には、他国の核施設やミサイル施設の無力化、イスラム国などのテロリストらのコミュニケーション妨害も含まれていると報じられいてる。

 またアメリカの諜報機関によると、アメリカにとって最大の脅威とリスクは、ロシアによるサイバー攻撃での選挙介入前から、ずっとサイバー攻撃だと認識しているとも伝えられている。そして今回のサイバー軍の強化と先制攻撃の指示の背景には2016年の大統領選挙の際のロシアによるサイバー攻撃での干渉があると指摘している。

サイバースペースでの抑止力強化へ

 サイバー戦争とはプログラミング戦争だ。そしてサイバー攻撃では、攻撃側が圧倒的に優位で強い。サイバー攻撃は相手のシステムの脆弱性を見つけて、そこから攻撃を仕掛ける。相手を攻撃をしている時に、自分のシステムにも同様の脆弱性を見つけて、修正することもできる。サイバー防衛にとってもサイバー攻撃は効果があり、サイバースペースでは「攻撃は最大の防御」だ。

 またアメリカがオフィシャルにサイバー軍による先制攻撃を行うということは「これからはいつでもアメリカはサイバー攻撃を仕掛けて、敵国の情報摂取やシステム破壊を行う」ということを宣言していることになる。アメリカはここ数年にわたって、中国、ロシア、北朝鮮からのサイバー攻撃によって多大な被害を受けてきた。アメリカへのサイバー攻撃には、アメリカからのサイバー攻撃での報復もありうる。アメリカからのサイバー攻撃によって核施設やミサイル施設の無力化もあると報じられている。アメリカはサイバー先制攻撃ができるようになるということは、アメリカをサイバー攻撃から守ることにもなり、アメリカにとっては他国からのサイバー攻撃の大きな抑止ともなる。