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愛知、運転中の「ポケモンGO」で死亡事故:運転中のスマホ操作は絶対禁止

佐藤仁学術研究員・著述家
(ペイレスイメージズ/アフロ)

 愛知県西尾市で2018年4月に85歳の女性が自動車にはねられて死亡する事故が発生。自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで現行犯逮捕された女性は、運転中にスマホゲーム「ポケモンGO」に気を取られていたようだ。「ポケモンGO」では一定速度以上で移動すると操作が制限されるが、履歴画面は見ることができる。産経ニュースが報じているので以下に引用しておく。

ポケGO見ながら運転か 愛知、女性はねられ死亡

 愛知県西尾市で2018年4月14日、85歳の女性が乗用車にはねられて死亡する事故があり、自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで現行犯逮捕された同市の女性が、当時スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」を使用していたと供述していることが15日、西尾署への取材で分かった。

 同署によると、女性はポケモンGOのゲームの履歴が分かる「ぼうけんノート」を見ながら運転していたと説明しているという。同署は既に女性を釈放し、容疑を過失致死に切り替えて任意で調べる。

 事故は14日午前10時15分ごろ、西尾市平坂町の県道で発生。道路を横断中に車にはねられた。病院に搬送されたが、全身を強く打ち約1時間半後に死亡した。

出典:産経ニュース(2018年4月16日)

後を絶たない「運転中のスマホ」と交通事故

 運転中のスマホによる事故は後を絶たない。2016年夏に配信が開始された「ポケモンGO」は現在では下火にはなったが、それでもまだ夢中になっている人もいる。「ポケモンGO」による交通事故、死亡事故はこれが初めてではない。警察庁によると「ポケモンGO」の配信が開始された2016年7月22日から11月21日までの4か月間で、運転中の「ポケモンGO」操作による人身事故は17都道府県で26件発生。そのうち3件が死亡事故。2016年10月には愛知県一宮市で「ポケモンGO」をしていた運転手のトラックに小学生がはねられて死亡する事故もあった。

 重大な人身事故や死亡事故にならずとも摘発された件数はさらに多い。「ポケモンGO」が配信直後の2016年7月22日から27日までの6日間では運転中の「ポケモンGO」での摘発、信号無視などによる取り締まり件数が45都道府県で406件。これらは氷山の一角で、実際には警察に摘発されないまでも運転中に「ポケモンGO」もしくはLINEやニュースチェック、動画視聴などのスマホ操作をしている人は多いのではないか。

運転中のスマホ操作は絶対禁止

 「ポケモンGO」だけでなく、LINEやFacebookなどのSNSやニュースのチェックや動画配信など、スマホが気になってしょうがないのだろうが、運転中のスマホ操作の危険度は「歩きスマホ」の比ではない。自分が事故で大怪我をするだけでなく、歩行者や同乗者を怪我させたり、死亡させてしまう恐れもある。「見つからなければいい」、「周囲に人や車がいないからスマホを見てもいい」ということではない。

 

 国交省は「運転中のスマホ操作は『道路交通法で禁止されている極めて危険な行為』である」と指摘しているが、国交省に指摘されなくとも、運転中にスマホを操作していたらどのような惨事を招くかは想像できるだろう。

 

 自動車を運転できる年齢の人なら「運転中によそ見してスマホ操作をしていたらどうなるか?」はわかるはずだが、スマホの中のポケモンやニュース、SNSが気になってしかたないのだろう。だがスマホよりも人命の方が大切なのは言うまでもない。スマホで人生を台無しにする必要はない。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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