Yahoo!ニュース

国連WFP、SNSを活用したマッチング寄付:途上国の子ども10,225人に1年間給食を提供

佐藤仁学術研究員・著述家
(国連WFP協会提供)

 国連WFPは2017年10月1日から12月31日まで「世界食料デーキャンペーン2017 つなげよう!一杯の給食、 いっぱいの夢」を展開していた。この3か月間のキャンペーンを通じて、途上国の子ども10,225人の給食1年分の寄付を集めることができたことを報告した。5,000円で子ども一人に学校給食を一年間届けることができる。キャンペーンでは、ソーシャルメディア(SNS)を通じて8万件以上の一般の方々の協力も得ることができた。

初のSNSを活用した「マッチング寄付」への取組み

 本キャンペーンは3年目だが、今回から初めてSNSを活用したマッチング寄付も行った。「マッチング寄付」とは、以下のような流れだ。

(1)個人がSNS(Instagram、Twitter、Facebookのいずれでも)に「#WFP給食の思い出」というテキストを入れて投稿

(2)投稿1件につき、国連WFP協会を支援している企業3社(寄付協力企業として、アルフレッサ ホールディングス、キッコーマン、日清食品ホールディングス)が30円を国連WFP協会に寄付

(3)寄付金は国連WFP本部(ローマ)に送金され、国連WFPが途上国で実施する、学校給食支援に役立てられる

SNSを通じた協力は計86,723件となった。著名人30名が応援した。

<SNSでのマッチング寄付の内訳>

・「#WFP給食の思い出」投稿 9,511件

・著名人のSNS投稿に対するいいね/シェア 72,566件

・国連WFP公式アカウントの投稿に対するいいね/シェア 4,646件

 ここでのマッチング寄付とは、個人からのSNSへの1つの投稿に対して、賛同する企業がマッチングして30円を国連WFPに寄付するというもの。国連WFPによると、投稿者に金銭負担が発生しない寄付の仕組みとなっており、国連WFPのような募金活動を行っているNPOやNGOなどでは比較的知られている寄付の形態とのことだ。

 

 国連WFPによると、世界では、学校に通うことすらできない子どもが6,100万人いる。そこで国連WFPでは、途上国の学校で栄養価の高い給食を提供する「学校給食プログラム」を実施。子どもたちの健全な発育を助けると同時に、教育の機会を広げている。2016年には60の途上国で、約1,640万人の子どもたちに給食を提供した。

協力した著名人(国連WFP協会提供)
協力した著名人(国連WFP協会提供)
学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

佐藤仁の最近の記事