Apple、新モデル発表:中国で売上復活できるか「iPhone 8」に期待?
Appleは2017年9月12日に、iPhoneの新モデルとして「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」「iPhone X」の3機種を発表。スペックや価格、販売時期などについては既に多く報じられているので、ここでは割愛する。
今でもiPhone依存のAppleの売上
Appleの売上の約6割がiPhoneだ。新モデルが登場すると、iPhoneの売上が好調でAppleの売上も増加する。iPhone7が登場した時も、その売上が好調で、2017年Q1(2016年10~12月期)には過去最高の売上を達成したことがある。昨年のクリスマスシーズンは「iPhone7」の売上がAppleの収益を支え、同社の売上の約7割をiPhoneの売上が占めた。そのため、Appleとしても今年のクリスマス商戦も世界中でiPhoneの新モデルの売上への期待は大きい。
iPhone売上減少の中国市場
Appleにとって苦戦している市場が中国だ。ここ1年間の中華圏市場での売上は前年比でみると、毎期ごと減少している。アメリカに次ぐ巨大市場である中華圏(中国、香港、台湾)は同社にとっても重要な市場だ。中国市場での売上だけが伸び悩んでいる。
昨年もクリスマスシーズンでの売上は大きかったものの、1~3月期の売上は前期・前年同期比ともに減少した。この時期は春節(旧正月)シーズンであり、中国では一番買い物が盛んな時期で、通常であれば売上は大きく伸びる。Appleの売上は減少したが、他の中国メーカーは決してほとんど減少していなかった。
中国人の多くは「見栄を張るためにiPhoneを所有する」ことが多かった。「iPhoneを持つことがクール」という風潮が中国の都市部にはあり、富裕層にはiPhoneもほぼ普及しており、新製品が出るたびに購入する人が多かった。だが、そのような人々の買い替えが進んでいないようだ。
特に中国の地場のスマホメーカーの台頭が著しい。iPhoneと同等の高機能なスペックの端末でも、iPhoneより安い価格で販売している。また中国メーカーの廉価版のスマホでも、電話もWeChatもゲームもできるので、スマホは別にiPhoneである必要はない。スマホがないと生活や仕事で困ることが多いが、iPhoneは生活必需品ではない。
中国では韓国との政治的な理由からサムスンの端末が現在は全く売れなくなった。サムスンが占めていたハイエンド端末のシェアをAppleは奪うことができていない。それどころか売上が減少している。一方で地場の中国メーカーの台頭が著しい。2015年には1年間で中国でAppleは5,840万台を出荷しておりシェアも13.6%あったが、2016年には4,490万台と、年間で1,350万台も中国での出荷台数が減少。この状況は2017年に入っても変わっていない。かつて中国人にとって「iPhoneは富の象徴」のような存在で、見栄っ張りな中国人の多くがiPhoneを所有したがっていた。だがもはや中国人にとってもiPhoneが魅力的な端末でなくなってしまったようだ。
そのAppleは2017年3月には中国の上海と蘇州に35億元(約560億円)を投資し研究開発センターを開設することを明らかにしている。北京、深センにある研究センターと合わせて、中国本土で4つの開発拠点を設置して本格的な巻き返しを図っていきたいところだ。Appleは中国に22のオフィスがあり、46の店舗があり12,000人以上が働いている。さらに、中国全土で480万人の雇用創出にも貢献している。
8が大好きな中国人、「iPhone8」に期待?
今回、中国市場でiPhoneの売上復活が期待できるとしたら「iPhone8」と「iPhone 8 Plus」の存在だろう。中国人は数字の「8」が縁起が良いということで大好きだ。携帯電話の番号や自動車のプレートなども「8888」など「8」が並ぶような数字を好む。北京オリンピックは2008年8月8日が開会式だったように、大きなイベントなどは「8」がつく日に開催される。また「8」のつく日にはセールなども多い。
「iPhone8」と「iPhone 8 Plus」は中国のスマホ市場におけるiPhone復活に貢献できるのだろうか。
ここ1年間のAppleの地域別売上の推移