Apple:iPad出荷も久しぶりに好調で増収増益だが、続く中国市場での売上減
Appleは2017年8月1日に2017年Q3(2017年4~6月期)の業績発表を行った。売上高は前年同期比7%増の454億800万ドル(約5兆円)、純利益は12%増の87億1,700万ドル(約1兆円)だった。
iPad出荷数が13四半期ぶりに増
Appleの今期の売上高454億800万ドルのうち、iPhoneは248億4,600万ドルと約54%。売上の伸びでは2016年以降、サービス分野(AppleCare、Apple Pay、ライセンス事業など)の成長が著しく、売上の増加は大きい。ティム・クックCEOも「サービス分野は毎四半期ごとに成長していて嬉しい」とコメント。
今期はiPadの出荷が15%増の1,142万。13四半期ぶりに前年比増加となった。長いこと出荷台数では低迷が続いていたiPadだが2017年3月に9.7インチのiPad、6月に10.5インチの新型「iPad Pro」を発売したのが功を奏した。
▼製品別での出荷台数、売上高および売上高に占めるシェア
売上減少が続く中国
地域別でみると、中華圏だけが前年比よりも売上が減少したが、それ以外の地域では売上増だった。ここのところ、中国でのAppleの売上が芳しくない。前期(1~3月期)は、中国の旧正月でのセールが例年一番端末が売れる時期で、中国市場で一番売れるはずの時期だった。しかし、クリスマスシーズンよりも売上が減少した。今期も更に売上が減少している。
中国では韓国との政治的な理由からサムスンの端末が現在は全く売れなくなった。サムスンが占めていたハイエンド端末のシェアをAppleは奪うことが出来ていない。それどころか売上が減少している。一方で地場の中国メーカーの台頭が著しい。2015年には1年間で中国でAppleは5,840万台を出荷しておりシェアも13.6%あったが、2016年には4,490万台と、年間で1,350万台も中国での出荷台数が減少。
この状況は2017年に入っても変わっていない。2017年Q1(1~3月)の中国でのAppleの出荷台数は前年同期比26%減の960万台。Huaweiが2,000万台超、OPPOが1,900万台と2倍以上の差をつけられている。かつて中国人にとって「iPhoneは富の象徴」のような存在で、見栄っ張りな中国人の多くがiPhoneを所有したがっていた。だがもはや中国人にとってもiPhoneが魅力的な端末でなくなってしまったようだ。
▼地域別での売上高とシェアの推移
トランプが大統領に就任し「アメリカファースト」を唱えて、多くの製造業にアメリカでの工場建設や雇用創出を要求している。実際にトランプは「Appleがアメリカに3つの工場を建設することを約束している」とメディアに語った。クックCEOもその事実を認めている。
そのようにアメリカへの投資と並行して、Appleは積極的に中国市場へ投資している。中国に22のオフィスがあり、46の店舗があり12,000人以上が働いている。さらに、中国全土では工場労働者も含めて480万人の雇用創出に貢献している。中国はAppleの売上規模でも約17%を占めており、アメリカに次ぐ重要な市場であることには変わりない。売上減退を食い止めて、なんとしてでも中国市場で盛り返したいところだ。