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「歩きスマホ」なら笑ってすまされるが・・・恐怖の「ながら運転」南アフリカ州政府の動画

佐藤仁学術研究員・著述家
(Western Cape Government #ItCanwait)

南アフリカの西ケープ州政府が「ながらスマホ」を防止するための啓発動画を制作した。

前半は「歩きスマホ」でのコミカルなシーンがいくつか登場している。スマホに夢中になっていて、人とぶつかったり、池に落ちたり、柱にぶつかったり、転んだりと日本人でも「歩きスマホ」をしていて、同じような経験をしたことがある人も多いだろう。そして後半では「ながら運転」で自動車の運転中にスマホを触ろうとして、そのままクラッシュしてしまうという衝撃的な内容だ。

周囲が見えてない「歩きスマホ」

日本でも「歩きスマホ」は一向に減少しない。それどころか増加している。この動画では「ながら運転」の対比として「歩きスマホ」が扱われているが、「歩きスマホ」も危険だ。実際に視野が狭くなっているにも関わらず「自分だけは大丈夫」と勝手に思い込んでいて「歩きスマホ」をやめない。また「歩きスマホ」をしている時は神経はスマホに集中しているので、咄嗟の判断も出来ない。柱が目の前にあっても、人が前から来ていても直前まで見えていないので、ぶつかってしまう。

歩きスマホなら笑ってすまされるが・・
歩きスマホなら笑ってすまされるが・・
自動車でのスマホ操作は非常に危険。本当に命取りになる(Western Cape Government #ItCanwait)
自動車でのスマホ操作は非常に危険。本当に命取りになる(Western Cape Government #ItCanwait)

そして「歩きスマホ」の時は、思考が自己中心的になっている。例えば「自分は今、LINEをやっていて忙しいんだ」と思い込んでいる。そのため、このようなアクシデントに遭遇しても、イライラして「ぶつかってきた相手が悪い」と八つ当たりしたり、「こんなところに柱があるのが悪い」と勝手に一人で怒っている。周りから見たら笑止千万な風景だ。

南アフリカの州政府が制作した動画ではコミカルなシーンばかりだが、線路で「歩きスマホ」をして自分が落下して電車が来たら、道路で「歩きスマホ」をしててい自動車がやってきたら、と想像するだけでもぞっとする。

「歩きスマホ」よりも遥かに危険な「ながら運転」

そして「歩きスマホ」よりも遥かに危険なのが運転中のスマホ操作だ。ほとんどの国や地域で法律で禁止しているのだが、運転中のスマホでの事故は国内外で後を絶たない。

結局のところ、運転中のスマホも「歩きスマホ」の延長にある。どれだけ危険だということを頭では理解していても、常にスマホが気になってしまうのだ。「ながら運転」は言うまでもなく、自分が衝突して大怪我をしたり死亡するだけでなく、他人も悲惨な大事故に巻き込む可能性が高い。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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