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Twitter、ユーザー微増で3億2800万人:Instagramの7億人と大差

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

Twitterは2017年4月26日、2017年第1四半期(2017年1~3月)の決算を発表した。売上高は前年同期比8%減の5億4,800万ドル。純損失は6,200万ドルの赤字で、前年同期の8,000万ドルから赤字幅は縮小した。

利用者は微増の3億2,800万人、Instagramの半分以下

Twitterの売上高のうち約86%は、広告収入。だが広告の売上が11%減4億7,400万ドル、データライシングなどの売上は17%増の7,400万ドルだった。

全世界でのTwitterの月間利用者数(MAU)は前年同期比6%増の3億2,800万人。利用者のうちアメリカが約7,000万人で、残りの2億5,800万人以上がアメリカ国外だ。売上高は減少しているが、日間利用者数(DAU)が14%増加していることから株価は上昇していた。ジャック・ドーシーCEOも「毎日利用している人が増加していることが嬉しい」とコメントしていた。

Twitterは3億人を突破してから、ずっと微増のままだ。一方で、Facebook傘下のInstagramの利用者が全世界で7億人を突破した。既にTwitterの2倍以上だ。日本やアメリカ、インドネシアなど一部の国ではTwitterは人気だが、ユーザー数の観点では、現状のままでは今後爆発的な成長は見込めない。2017年4月には新興国など通信事情がよくない地域でも利用しやすい「Twitter Lite」をリリースした。これはデータ通信量を最小限に抑えることができるアプリだが、これで新興国で一気にTwitter利用者が急増するとは考えにくい。

トランプ大統領がTwitterを多用していることから、ニュースでもTwitterの名前は聞く機会は多くなったが、それで利用者が急増することはない。日本ではタレントなどの多くは今でもTwitterを利用しているが、最近ではほとんどがInstagramへ情報発信の軸足を移している。

Twitterの売上高の推移および広告収入とその他の比率(Twitter発表資料を元に作成)
Twitterの売上高の推移および広告収入とその他の比率(Twitter発表資料を元に作成)

動画配信に注力

2016年Q4の決算発表時にはジャック・ドーシーCEOは「2017年は収益のあげられる製品開発に取り組んでいく」とコメントしていた。現在一番注力しているのが動画のようだ。今回の決算資料の中でもライブ動画をアピールしていた。

2017年Q1の3か月間で、450以上のイベントで800時間以上のライブ動画が4,500万人以上の人に視聴されていた。ライブ動画コンテンツの内訳としては、スポ―ツ51%、ニュース35%、エンタメ14%とスポーツが過半数を占めている。視聴者の55%以上が25歳以下の若者だ。前期の2016年Q4から31%も視聴者数が増加したとのことだが、売上高に直結していない。動画配信はTwitterだけでなく、Facebookなども注力している。またYouTubeでもライブ配信をしており、非常に競争が厳しい。

▼スポーツのライブ動画の人気が高い。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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