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大阪、運転中に「ポケモンGO」をしていたバス会社を入札参加停止に:自動運転バスの方が安全な時代へ

佐藤仁学術研究員・著述家
(ペイレスイメージズ/アフロ)

大阪府は2016年11月29日に、バス運転手が運転中に「ポケモンGO」をしており、国交省から処分を受けた京阪バスと両備ホールディングスの入札参加停止処分にした。産経WESTに事実のみを記した記事が出ていたので下記に引用しておく。

ポケモンGO運転、バス会社を入札参加停止に 京阪と両備

大阪府は29日、スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」を運転中にしたとして、国土交通省から処分を受けた京阪バス(京都市)と両備ホールディングス(岡山市)を入札参加停止処分とした。停止期間は12月28日までの1カ月。

両社は道路運送法違反で、国交省近畿運輸局から文書警告処分を受けていた。

出典:産経WEST(2016年11月29日)

公共交通機関であるバスの運転手が業務中、つまり運転中にスマホを見ており、国交省から処分を受けた企業の入札停止が1か月間となったという小さな記事だ。

相次ぐバス運転手のスマホ操作発覚

京都の京阪バスは2016年11月、51歳の運転手が10月に路線バスを運転中に「ポケモンGO」をしていたと発表した。目撃した人からの会社への通報で発覚。両備バスの41歳の運転手も運転中に「ポケモンGO」をしていたことが発覚。近畿運輸局は、会社を厳重注意とし、再発防止を求めている。また2016年10月には仙台の市バスの43歳の運転手もバスの運転中に「ポケモンGO」をしており、街路樹に衝突するという事故を起こしたていた。乗客も乗っていなかったので、大惨事には至らなかったようだが、一歩間違えたら歩行者や対向車に突っ込んでいったりしての大事故になっていたかもしれない。

国土交通省は2016年11月7日、大阪府門真市において、貸切バスの運転者が運転中にスマホを用いてゲームアプリを操作するという事案が発生したことから、業務中の携帯電話・スマホの使用禁止の徹底について関係団体あてに通知している。

国交省は「いうまでもなく、運転中にスマートフォンなどの画像を注視する行為や携帯電話で通話する行為は、道路交通法で禁止されている極めて危険な行為」と指摘。「事業用自動車の運転者が、このような安全を軽視する行為を行ったことは極めて遺憾」と見解を示し、乗務中のスマホ操作や通話の禁止の徹底と、再発防止のための対策の検討・報告を求めている。

それでも続々と運転中のスマホ操作が発覚している。そしてこれだけ短い間に発覚が相次出いるということは、京阪バス、両備バス、仙台の市バスの運転手による運転中のスマホ操作は「氷山の一角」かもしれない。実際にはもっと見えないところで運転中に操作しているのだろうか。想像するのも恐ろしい。多くの会社がバス乗車中のスマホ持ち込みを禁止しているようだが、そんなにスマホが気になるのだろうか。発覚している運転手は40代以上で「運転中のスマホは危険ですよ」と言われないとわからない年齢ではない。

自動運転バスの方が安全の時代へ

バスの運転手という乗客の人命を預かる仕事をしている方々が「運転中にスマホを見入っていたら、どのような事態になるか」はすぐにわかるだろう。これなら人工知能による自動運転バスの方がよほど安全かもしれない。すでに自動運転バスの走行実験は国内外で始まっているので、自動運転バスが普及するのも決して遠い将来ではないだろう。

昭和時代には運転手以外にもバスガールという女性のバス車掌が乗車していたそうだ。1960年代からバスは運転手のみと、ワンマン化していったそうだが、そのうち人工知能が発展し自動運転バスが普及すると、バスの運転手も不要になるだろう。「バスの運転手が運転中にスマホ操作をしているのではないか?」「このバスの運転手は大丈夫かな?」「大事故になったらどうしよう?」という心配をしなくても良い時代がすぐにやってくるだろう。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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