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世界中で問題になっている「運転中のポケモンGO」日本では6日間で摘発406件

佐藤仁学術研究員・著述家

日本でも「ポケモンGO」が配信されてから大ブームだ。最近では「もう飽きた」という人が多くいるが、それでもまだ人気は続いている。そしてそれに伴っての問題も多発している。

警視庁は2016年7月28日、「ポケモンGO」関連で都内の110番通報が7月27日までに211件にあったことを発表した。最も多いのは「公園などに人が集まってうるさいという騒音への苦情」が86件。「自転車に乗りながらゲームをしている」32件だったそうだ。他にも、ゲームで移動するために自転車を盗まれるや、痴漢被害など日本でも「ポケモンGO」が配信されてから問題が多発している。また駅では「歩きスマホ」への注意を放送やポスターで呼びかけているが減っていない。そして「歩きスマホ」よりもタチが悪い「運転中のポケモンGO」だ。

日本、配信後6日間で「運転中のポケモンGO」406件摘発

警察庁は2016年7月28日、車や自転車を運転中に「ポケモンGO」を操作していたとして、7月22日から27日までの6日間に45都道府県で合計406件の道交法違反を摘発したと発表した。東京都が35件、埼玉県30件、神奈川県28件、静岡県25件、愛知県23件、大阪府15件だった。人身事故は11件だが、いずれも軽傷。物損事故は25件あった。もっと多くの人が運転中に「ポケモンGO」をしていただろうが、摘発されなかっただけで、実際にはこの数字以上にあっただろう。

移動しながらスマホの中のポケモンを捕まえていく「ポケモンGO」はスマホの中のゲームが気になって仕方ない。LINEやFacebookなら運転中はやらないで我慢できるものの、「ポケモンGO」はゲームの性質上、ついついスマホが気になってしまうのだろう。

だが、言うまでもなく運転中のスマホ操作は物凄く危険だ。スマホに神経を集中しているので、瞬時の判断が出来なくなる。当然、軽傷や物損だから良いということではない。そもそも運転中に「ポケモンGO」をしていて、自分が勝手に事故を起こして怪我をするだけでなく、普通に道を歩いている人に突っ込んでしまい怪我をさせたり、殺してしまう場合もある。

海外でも「運転中のポケモンGO」が問題に

Uberの運転手が運転中に「ポケモンGO」に夢中で乗客に訴えられる (Mercury)
Uberの運転手が運転中に「ポケモンGO」に夢中で乗客に訴えられる (Mercury)
運転中の「ポケモンGO禁止」を訴える電光掲示板
運転中の「ポケモンGO禁止」を訴える電光掲示板

「運転中のポケモンGO」が問題になっているのは日本だけでない。海外でも大人気の「ポケモンGO」はアメリカ、オーストラリア、欧州諸国など海外でも運転中にゲームに夢中でトラブルや事故になっている。

イギリスでは配車アプリ「Uber」の運転手が運転中に「ポケモンGO」で遊んでいて、乗客からクレームになった。乗客からしたら、運転手が「ポケモンGO」に夢中の自動車なんて、恐ろしくてたまったものではない。またアメリカのボルチモアでは運転中に「ポケモンGO」をやっていて、パトカーに突っ込んでいくという事故や、ニューヨークでは木に衝突する事故もあった。オーストラリアのメルボルンでは19歳の少年が運転中に「ポケモンGO」をやっていて、学校に突っ込んでいった。

このような「運転中のポケモンGO」による事故のニュースは「またか・・」というくらい毎日報じられているし、世界的にも日常的なトラブルになってしまった。実際には事故やトラブルにならなかったし、警察に摘発されなかったが、運転中に「ポケモンGO」をやっていた人はもっと多いだろう。

そしてアメリカの多くの州やオーストラリアでは、SNSなどでの注意喚起を訴えるだけでなく、警察による道路での監視を強化したり、道路の電光掲示板で「運転中のポケモン禁止」をアピールしている。

「運転中のポケモンGO」は自分だけでなく他人の人生まで奪いかねない。スマホの中のポケモンよりも人命の方が大切なのは言うまでもない。「ポケモンGO」で人生を台無しにする必要はない。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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