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Facebook:利用者17億人突破、モバイル動画広告が絶好調「またしても良い四半期だった」

佐藤仁学術研究員・著述家

Facebookは2016年7月27日、2016年第2四半期(4~6月期)の業績を発表した。Facebookを毎日利用するデイリーアクティブ利用者(DAUs)は、2016年6月時点、全世界で前年同期比で17%増の11億3,000万人。月間アクティブ利用者数(MAUs)は、2016年6月時点、全世界で同15%増の17億1,000万人だった。そしてFacebook利用者の67%異常の11億人以上がアジア太平洋地域やその他の新興国市場で、これらの市場ではスマホの普及によって大きく伸びている。

絶好調のモバイル広告、売上の97%が広告収入

第2四半期の売上高は前年同期比59%増64億3,600万ドルで、そのうち広告売上高は前年同期比63%増の62億3,900万ドルでFacebookの売上の96.9%を占めている。一方でゲームのアプリ課金手数料などの売上高は同8%減の1億9,700万ドルとますますFacebookの売上が広告依存になっている。

Facebookの広告売上の84%はモバイル、動画広告が好調

Facebookの利用は全世界的に見て、ほぼモバイルが中心である。モバイルからのDAUは22%増の10億3,000万人、モバイルのMAUは20%増の15億7,000万人だった。モバイルのみのMAUは8%増の9億6,700万人だった。モバイルでの広告売上高は広告売上全体の約84%を占めている。特にスマホでの動画広告が好調だった。

他にもFacebookが提供しているメッセージアプリ「メッセンジャー」のMAUも10億人を突破し、傘下のメッセージアプリ「WhatsApp」の10億人と並んだ。さらに傘下のInstagramも全世界で利用者が5億人を突破し、約3億人のTwitterに大きく差をつけた。

▼Facebookの地域別MAUと比率(2016年Q2)

(公開情報を元に作成)
(公開情報を元に作成)

ザッカーバーグCEO「動画がFacebookのサービスの中心」

ザッカーバーグCEOは四半期を振り返って「またしても素晴らしい四半期決算だった。動画がFacebookのサービスの中心になっていき、それに向けて現在の進捗は非常に良い」とコメントしている。

『動画がFacebookのサービスの中心( video is at the heart of all our services)』だそうだが、Facebookはあくまでもプラットフォームに徹しており、NetflixやAmazonのように自身で動画を制作して有料で配信することはしない。そのようなコンテンツ制作や販売などにコストはかけていない。Facebookとしては「個人であれ、企業であれ誰もが動画をアップできるプラットフォーム」を提供しており、そこからの広告収入で売上をあげている。

現在のFacebookの収益源は、利用者では半分以下の欧米、特にアメリカだ。欧米での売上が圧倒的だが、利用者は新興国の方が多くなってきている。Facebookとしては新興国での収入増を目指して「Internet.org」などの活動を通じて、太陽光パネルを搭載したドローンによるネット接続や、オープンソース無線アクセス「OpenCellular」の設置による新興国でのインフラ整備に注力している。

新興国は人口も多く、スマホもかなり普及してきた。さらに無料でのネット接続があれば、これからもFacebook利用者増の見込みも大きく、広告市場としてもかなり期待できる。ブロードバンドが整備されれば動画広告の配信もスムーズに行える。Facebookとしては、利用者が急速に拡大している新興国でも広告収入を増加させていきたいところだ。

▼Facebookの地域別1人当たりの収入(2016年Q2)

(公開情報を元に作成)
(公開情報を元に作成)
学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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