英国のアプリ会社「ジェイミー・ヴァーディは、まるでシンドラーのリスト」のつぶやきでネット炎上

(写真:ロイター/アフロ)

イギリスのスマホ向けアプリを開発している会社Fruity Kingが自社のツイッターで『ジェイミー・ヴァーディは、まるで「シンドラーのリスト」に出てくるエキストラのようだ』と2016年3月につぶやいて、欧州では炎上していた。

まるで「シンドラーのリスト」で炎上

レスター・シティに所属するストライカーでイングランド代表でもあるジェイミー・ヴァーディが短髪で上半身裸でトレーニングする姿がホロコースト時代の苦難に耐える収容所のユダヤ人のようで、まるで映画「シンドラーのリスト」(1993年、スピルバーグ監督)に登場してきそうなシーンだったことから、このようなつぶやきになったのだろうが、対象が有名なサッカー選手だったことから、欧州のネットでは問題視されていた。

「シンドラーのリスト」はユダヤ系アメリカ人であるスピルバーグが監督を務めたホロコースト映画の代表的な作品として有名である。反ユダヤ主義が大学やマスコミでブラックムスリムたちによって唱道されており、スピルバーグはユダヤ人恐怖症や反ユダヤ主義の火を鎮めるために、アメリカ人に実際のホロコーストがいかなるものであったかをリアリティをもって想起させるためにも「シンドラーのリスト」を製作したといわれている。

Fruity Kingがのツイッターより
Fruity Kingがのツイッターより

イギリスのナショナル・ホロコーストセンターのPhil Lyons氏は「思慮に欠けた表現で、ホロコースト犠牲者たちに失礼だ」と怒りを露わにしている。Fruity Kingは「決してユダヤ人や特定の人々を攻撃するためにつぶやいたものではない」と同社のスポークスマンは弁明し謝罪している。

欧米ではまだ反ユダヤ主義も多く残っている。日常生活の会話の中にも、このような表現はたまに出てくる。仕事がしんどくて寝る暇もなく疲れている時や空腹で耐えられない時には、当時のホロコーストの犠牲者のユダヤ人を例にした「まるで収容所だよ」のような表現はある。ただし、これらがネット上で企業がつぶやいたら、今回のように問題になることは欧州の企業では想定できたのではないだろうか。

Fruity Kingという会社の名前はほとんど知っている人もいなかったが、これで有名になったので炎上マーケティングを意図していたのなら、成功かもしれないが、その代償も大きい。イギリス人であるジェイミー・ヴァーディからしたら、今回の騒動はとんだ迷惑な話であろう。

人工知能でなく、人間の判断が求められる

2016年3月にはマイクロソフトの人工知能「Tay」が「ホロコーストはなかった」などツイッターで「人種主義的なつぶやき」をしてしまい、マイクロソフトは一時停止させ謝罪した。これは人工知能の機械学習の中で「Tay」にそのようなことを教え込むように仕向ける人がいて、その結果プログラミングされてしまった。つまり人工知能「Tay」が人種主義を扇動するような人々によって教えられたことを学習してしまったことが問題であるため、プログラミングの修正をするだけだ。しかし人工知能と違い、人間は自分自身で人種差別的なことをネット上に書き込んでいいか悪いかを判断することが求められる。人間ならネット上で「つぶやいて良いことと悪いこと」の区別ができるはずだ。

「ホロコーストはなかった]とつぶやく人工知能「Tay」のツイッター
「ホロコーストはなかった]とつぶやく人工知能「Tay」のツイッター
問題になった人工知能「Tay」のつぶやきの例。「ヒトラーは正しかった、ユダヤ人は嫌い」
問題になった人工知能「Tay」のつぶやきの例。「ヒトラーは正しかった、ユダヤ人は嫌い」