恐怖の「ながらスマホ」で山手線運転:交通機関のミッションは「安全に乗客を運ぶこと」

(写真:アフロ)

2016年1月27日の深夜の山手線の運転手が電車を運転しながら、私物のスマートフォンでゲーム攻略サイトを見ていて、駅のホームにいた乗客が見つけて、運転士に注意をするという事態が発生した。

短いニュースなので以下に引用しておく。

ながらスマホで山手線運転 乗客注意でポケットに

JR東日本は27日、男性運転士(41)が同日未明に山手線を運転しながら、私物のスマートフォンを使っていたと発表した。運転士はゲームの攻略サイトの動画を見ており、乗客に注意されてポケットにしまったというが、JR東は乗務から外し処分を検討する。

JR東によると、運転士は27日午前0時45分ごろ、山手線外回りの田端駅停車中にかばんからスマホを取り出し使用を始めた。運転中は左手でハンドルを操作、右手にスマホを握りながら指さし確認していた。

気付いた乗客が乗務員室の窓をたたき、運転士は使用をやめた。乗客は日暮里駅で降車した際、ホームから「何をやっているんだ」と注意した。

乗務中のスマホ使用は禁止されている。運転士は調査に「魔が差した」と説明。JR東・東京支社は「指導を徹底する」とのコメントを出した。

出典:産経ニュース(2016年1月27日)

大惨事に繋がりかねない「ながら運転」

自動車でスマートフォンや携帯電話の画面を見ながら運転するのは、非常に危険であり大事故につながりかねないことから禁止されている。JR東日本でも乗務中のスマートフォン使用は当然禁止されているようだが「魔が差した」ようで、運転中にゲーム攻略サイトを見ていたようだ。運転士は16年以上の経験があるベテランの運転士とのことだが、そのようなベテランでも電車の運転中にゲーム攻略サイトが気になってしまうのだろう。

スマートフォンに集中していると、他の周囲の物が視覚に入りにくい。見えているはずの物を見過ごしてしまうことがある。視覚に入ってこないから非常に危険である。スマートフォンに意識が集中してしまうことによって、その他の周囲のものが認識できずに、ぶつかったり事故を起こす原因が高くなる。

これは「歩きスマホ」をしている人はよく経験するだろう。スマートフォンの画面に意識が集中しているから、人や障害物に気が付かずにぶつかってしまう。さらに目の前に人や障害物があっても、神経がスマートフォンに集中していたので、瞬時に脳が判断できない。だから「歩きスマホ」をしている人は、予測不能な動きをするのだ。また「歩きスマホ」時の視野は通常時に比べて1/20になってしまい「歩きスマホ」をしていると、1.5mまで接近しないと対象物を認知することはできない。

「歩きスマホ」と電車運転時の「ながらスマホ」ではその結果に若干の差異はあるだろうが、全体を見渡して、人や障害物を認知して、自分がどのような行動をとればいいのか瞬時に判断することができなくなってしまうことに変わりはない。

交通機関の「安全は結果」であり「安心は信頼」

JR東日本は「法令遵守及び企業倫理に関する指針」(コンプライアンスに関する取組み)の中で2番目に「安全の提供と信頼の獲得」を掲げており、その中で「役員及び社員等は、安全で社会的に有用な商品・サービスを開発、提供するという変わらぬ使命を果たし、お客さまの満足と信頼を獲得します」と謳っている。

当たり前のことだが、交通機関のミッションは「安全に乗客を運ぶこと」である。

山手線の多くの駅ではホームドアの設置がかなり進んできているが、新宿など最大級の駅ではまだホームドアが設置されていないところもあり、スマートフォンを見ながらの運転は大参事に繋がりかねなく、非常に危険なことは言うまでもない。

JR東日本の駅には乗客による「歩きスマホ」注意喚起のためのポスターが多く貼られているが、運転士の「ながら運転」も、それが引き金となって起こる大惨事を想像すると相当に恐い。

「山手線なんて混雑してて乗りたくないけど、乗らないと会社や学校に行けないから仕方ないから乗る」という人も多いだろう。さらに『運転士が「ながら運転」する電車なんて誰も乗りたくないけど、乗らないと移動できないから乗らざるを得ない』と不快な思いをしている人も多いだろう。安全な電車に安心して乗車したいものだ。「安全は結果」であり「安心は信頼」だ。