Facebookの無料ネットサービス「Free Basics」インドでネット中立性の観点から一時停止

(写真:ロイター/アフロ)

Facebookが新興国で現地の通信事業者と提携して提供している無料でのインターネットアクセスサービス「Free Basics」が現在、インドで一時停止されていることが明らかになった。

■インドでは現地の通信事業者Relianceのみが「Free Basics」提供

「Free Basics」は2014年7月に「Internet.org」という名称でアフリカのザンビア開始され、現在ではアフリカやインド、アジア諸国で導入されている。2015年9月から「Free Basics by Facebook」と呼ばれている。「Free Basics」は現在世界19か国で提供されており、多くの国においてFacebookは1つの通信事業者と提携している。

インドでは現地の通信事業者Relianceが2015年2月から「Free Basics」を提供している。現在インドでFacebookと提携して「Free Basics」を提供している通信事業者はRelianceのみである。

「Free Basics」はFacebookが現地の通信事業者と提携して提供されており、インターネットへアクセスするデータ通信が無料でFacebookやGoogle検索、Wikipediaの他に天気予報や生活情報サイト、求人情報、妊婦や女性向けサイトなど生活に密着したサイトにアクセスができる。サービス開始時には38のサイトに無料でアクセスできた。FacebookやGoogle検索は無料でアクセスできるが、その先のリンク先のページや動画再生などはパケット費用(通信費)が発生するため、通信事業者にとってはその通信費が収入源になる仕組みである。

■「ネット中立性」の観点から提供を一時停止

インドでRelianceが提供している「Free Basics」について、インド電気通信規制庁(TRAI)が数週間前に提供の停止を通信事業者Relianceに要請した。インド電気通信規制庁(TRAI)はインドで通信事業者を管轄している当局である。

インド電気通信規制庁(TRAI)はRelianceのみがインドで提供している「Free Basics」がインターネットへの無料アクセスを提供することによって、ネット中立性の観点から問題がないかどうかを調査しているとのこと。すなわち、インドにおいて通信事業者RelianceのみがFacebookなどいくつかのサイトへ無料でアクセスできるサービス「Free Basics」を提供していることが、インターネットのサービスプロバイダーや政府がインターネット上の全てのデータを平等に扱うべきという「ネット中立性」の原則に触れていないかどうかを調査することになるのだろう。

たしかにインドでFacebookや他のいくつかのサイトに無料でアクセスしたいユーザーはRelianceに加入すれば、無料でアクセスできるがAirtelやVodafoneなど他の通信事業者のユーザーは通信費がかかる。またRelianceのユーザーでもFacebookなどいくつかのサイトには無料でアクセスできるが、他サイトへのアクセスはパケット通信費がかかってしまう。

■Facebookにとって重要なのは巨大市場インドでの広告収入

Facebookは今回の措置を受けて『Relianceおよび関係当局と協力しながら「Free Basics」の提携を行うことで、これからもインドで多くの人がネットにアクセスできることを支援していきたい』と述べている。

Facebookへの月間アクティブ利用者数が全世界で約15億5,000万人いる。人口12億人を超えるインドはFacebookにとっても巨大で重要な市場であり、これからも利用者増が期待される。

Facebookのビジネスモデルは広告収入であり、同社の売上の95%以上が広告に依拠している。広告収入のためには、まずインターネットにアクセスしてもらう必要がある。そのためには、このようなインフラが整備されることは同社の収入増にとっての基盤の確立として、とても重要である。

「Free Basics」のような無料でのインターネットアクセスによって、まずはFacebookにアクセスしてもらうことが重要である。ユーザーがFacebookにアクセスしてくる通信網がどの通信事業者であれ、Facebookにとってはどこでもよい。Facebookが新興国地域で「Free Basics」を推進するのは「慈善活動のように見える」がそうではない。人口が多くまだFacebookを利用していない新興国でのFacebook利用者の拡大と、そこからの広告収入増加に向けた重要な礎である。