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2015年上期に東南アジア7か国で販売されたスマートフォンは約4,000万台

佐藤仁学術研究員・著述家

2015年1月から6月までの上期6か月間において、東南アジアの7か国(シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン、カンボジア)で販売されたスマートフォンは3,980万台、80億ドル規模だったと調査会社GfKは発表した。

シンガポールやマレーシアでは販売されている携帯電話のほとんどがスマートフォンであるが、それ以外の5か国(タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン、カンボジア)でもスマートフォンの販売は増加しており、6か月間でインドネシアでは1,490万台、タイで660万台、ベトナムで600万台が販売された。成長のスピードではベトナムが前年比27%増、タイ13%増、フィリピンが10%増だった。

これらは新製品のスマートフォンの出荷台数であることから、東南アジア市場では中古市場も非常に盛況なため、実際にはもっと多くのスマートフォンがこの市場では流通しており、スマートフォンの利用者は拡大している。

また東南アジア市場では中国メーカーのスマートフォンが拡大しており、2013年には東南アジア市場で4%程度しかなかった中国メーカーが、現在では25%を占めており、出荷されるスマートフォンのうち4台に1台が中国メーカーの端末である。特にインドネシア、マレーシア、ベトナムではOPPOに代表される中国メーカーの台頭が著しい。

(マレーシアのデパートでの中国メーカーOPPOの宣伝)
(マレーシアのデパートでの中国メーカーOPPOの宣伝)

東南アジアでの2015年上期6か月間の携帯電話端末全体の出荷は6,180万台であることから、スマートフォン出荷の比率は約64%程度で、東南アジア市場でも出荷の約36%にあたる2,200万台がいまだフィーチャーフォンである。

一方で、今回の調査対象外であるミャンマーでも6か月間に販売された携帯電話端末は300万台で、そのうちスマートフォンが89%を占めている。ミャンマーはかつてMPTという通信事業者の一社独占だったが、新たに開放されてからノルウェーのTelenor、カタールのOoredooが参入して市場での料金やサービスの競争が激化しており、その主戦場はスマートフォンが対象である。他の東南アジア諸国と違って、フィーチャーフォンを飛ばして、初めて利用するモバイルがスマートフォンという人がミャンマーには多い。

これからもますます東南アジア市場ではスマートフォンの出荷は増加していくだろう。スマートフォンの普及にともなってFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアやLINE、Messengerなどのメッセンジャーアプリなどの利用者も急増している。ゲームアプリで遊んだり、YouTubeで動画を楽しむ人も多い。「歩きスマホ」も問題になってきている。東南アジアの人々の生活やコミュニケーションのスタイルはスマートフォンの増加によって変わってきた。

(東南アジアでの携帯電話端末とスマホ出荷の推移。GfK資料を元に作成)
(東南アジアでの携帯電話端末とスマホ出荷の推移。GfK資料を元に作成)
学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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