LINE:軽量版アプリ「LINE Lite」で新興国市場の開拓はできるか

LINEは2015年7月23日、コミュニケーションアプリ「LINE」の軽量版「LINE Lite」を海外11ヶ国で公開した。Android OSのみに対応しており無料で提供される。

■新興国向け「LINE Lite」アプリ

「LINE Lite」は、LINEの軽量版アプリケーションで、ネットワークインフラが整備されていない地域や低スペックのスマートフォン上でも、気軽に楽しんでもらうことを目的に、アプリの容量を1MB未満に削減した。

「LINE Lite」のインストールに必要な時間は、通常のLINEの20分の1でAndroid OSのみに対応。LINEのコア機能であるテキスト・スタンプ・画像を使ったコミュニケーションを楽しめる。また、「LINE Lite」への新規登録はもちろん、既にLINEアカウントを保有しているユーザーは、旧アカウントからの引き継ぎが可能。リリース時点で、音声・ビデオ通話やタイムラインなどを含む機能は非対応で、今後対応を予定している。

第一次対象国として、フィリピン、ベトナム、エジプト、サウジアラビア、メキシコ、コロンビア、インド、パキスタン、カンボジア、アルジェリア、韓国の全11ヶ国で公開し、今後は、各国の需要やユーザーの要望を踏まえ、さらなる対応エリアの拡大を検討していく。なお日本はサービス対象外。またLINEが大人気で多くの人が利用している台湾、タイ、インドネシアでも「LINE Lite」の提供は行っていない。

■メッセンジャーアプリだけでは収益にならない

LINEは現在世界230の国と地域、月間2億500万人(2015年4月時点)以上に使われている。日本ではメッセンジャーアプリといったら圧倒的にLINEであるが、海外ではFacebook傘下のWhatsAppや中国系のWeChatなどのメッセンジャーアプリの人気が高い。また、最近では欧米だけでなく新興国でもFacebookのMessengerを利用している人が急増しており、全世界で月に7億人が利用している。

メッセンジャーアプリは同じアプリを利用している人同士で、音声通話やテキスト、写真の送受信などが無料で利用できるのが特徴である(今回のLINE Liteはリリース時には音声通話は非対応)。つまり、メッセンジャーアプリ自身では売上に貢献しない。LINEでも収益を支えているのはゲームやスタンプ販売である。

FacebookのMessengerもメッセンジャーでの収益は期待していないで、同社の収益の90%以上を占めるFacebookでの広告収入に依拠している。Facebookも2015年6月に新興国市場での広告収入増加に向けて「Facebook Lite」アプリを提供している。

たしかに「LINE Lite」の提供によって、新興国市場でLINEのユーザーは増加するだろうが、ユーザーが増加しても、そこから先のゲームでの課金やスタンプ販売によって収益に繋がらなくては意味がないだろう。広告収入に依拠していないLINEはメッセンジャーアプリで利用者の基盤を確保し、そこから有料サービスで課金をしてもらうように誘導するかが売上確保において重要になる。

■メッセンジャーアプリは「一寸先は闇」

メッセンジャーアプリは基本的にどのアプリでも機能に大きな違いはない。タイやインドネシア、台湾でLINEが人気があるのはスタンプのキャラクターが現地の人に受け入れられて大人気だった。タイや台湾ではLINEのキャラクターがぬいぐるみやTシャツになっている。しかし最近ではFacebookのMessengerやWeChatでもかわいいスタンプが出てきており、LINEのキャラクターの存在感も以前ほど高くはない。

そして多くの人が1人で複数のメッセンジャーアプリを相手に応じて使い分けている。つまり1人でLINEだけでなくWhatsApp、Messenger、WeChatと複数のアプリを利用している。そして1人の友人に複数のメッセンジャーアプリを利用するのは面倒なのだ。そうなると例えばLINEもMessengerも利用している友人には、Messengerで送るようになると、LINEではもう送らなくなってしまう。欧米でも日本でも新興国でも人々は飽きやすい。日本でもかつてSNSではmixiが大人気だったのにFacebookが入ってきたら、mixiの利用者は激減した。

またLINEが大人気のインドネシアでもかつてスマートフォンと言えばBlackBerryだったが、現在ではほとんどがAndroid を搭載した地場のスマートフォンであり、BlackBerryの存在感はもうインドネシアではほとんどない。

世界中の消費者はとにかく移ろいやすい。特に無料で提供されているプラットフォームやサービスには愛着も固執もなく、あっという間に次のサービスに行ってしまう。メッセンジャーアプリは「一寸先は闇」なのである。

▼カンボジアの中古携帯ショップ。中古のスマートフォンも販売している。

スマートフォンは新興国でも広く普及してきているので、LINEなどのメッセンジャーアプリの利用も増加してきている。

画像

▼新興国でも大人がスマートフォンを利用するようになり、携帯電話(フィーチャーフォン)は子供のおもちゃになっている(カンボジア)。

画像