タイ政府「ムスリム向け観光アプリ」提供開始

タイ国政府観光庁(Tourism Authority of Thailand)は2015年6月、タイを訪問するムスリム(イスラム教徒)向けのスマートフォンのアプリを開発して提供を開始した。AndroidとiOS向けに無料で提供しており、現時点では英語とタイ語のみだが、将来はアラビア語とインドネシア語でも提供を予定している。

タイは仏教国で有名であるが、南部にはムスリムも多く住んでおり、周辺にはマレーシアやインドネシアなどが存在し、多くのムスリムがタイを訪れる。また中東のムスリムからもタイは人気の観光スポットである。ムスリム観光客がタイ訪問中も困らないために、ハラル対応の料理が食べられるレストランや祈りの部屋があるホテルやスポットをスマートフォンのアプリで紹介するといったシンプルなものだ。

タイは1年間で約2,500万人の外国人が訪問する。外国人訪問者数は日本の2倍以上であり、観光産業はタイ経済の10%を占めている重要な産業である。そしてマレーシア、インドネシアや中東からムスリムが年間300万人以上タイを訪れる。またムスリムの国以外でタイはシンガポールに次いでムスリムに人気がある国である。そのため、ムスリムの訪問客を疎かにすることができない。

ムスリムの人々にとっては、宗教上の習慣は旅行先でも重要である。タイは地理的にもマレーシアやインドネシア、ブルネイから近いため、昔からムスリムの訪問客が多い国である。それらの東南アジア諸国でもタイに観光に行く人々はほとんど全員がスマートフォンを所有している。またタイを訪問する人が多いUAEなどの中東諸国は世界有数のスマートフォン普及率が高い国々が多い。今回、タイ政府が主導してムスリム向けのアプリを提供することによって、タイではさらに多くのムスリムを誘致していこうとしている。

■日本でも進んできているムスリム対応

日本でもムスリム観光客に向けてハラル対応のレストランや、ムスリム・フレンドリーのホテルなどが登場しつつある。全世界でムスリムは 2010 年に16 億 人を超えており、2030 年には世界人口の26%がムスリムになるとのこと。2014年の1年間でマレーシア人は約25万人、インドネシア人は約16万人が日本を訪問している。

世界最大のムスリム国であるインドネシアは非常に親日国であり、これからも多くのインドネシア人が日本に行きたいと思っている。特に雪の降らない国に住んでいるムスリムにとっては、日本で雪を見たいということで、北海道や東北などへ行きたいという人が多い。日本もムスリム観光客への対応はこれから重要な課題になる。

スマートフォンでのアプリを提供するためには、まずムスリム向けのレストランやホテル、祈りのスポットなどのインフラが整備され、充実することが先である。そうしないとアプリだけあっても、そこに情報がないということになってしまう。

▼ムスリム諸国からタイへの旅行者の推移(単位:人)

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(Ministry of Tourism and Sports, Thailandを元に作成。カタールのデータは無い)

▼ムスリムの観光客で賑わうバンコクのマーケット

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