東南アジアのモバイルゲーム市場:2019年までに70億ドル規模へ

2014年の東南アジアでのモバイルゲーム産業が10億ドル規模になった。2019年までには70億ドル規模になるとのこと。フロスト&サリバンが2015年6月に発表した。シンガポールやマレーシアのような東南アジアの中での先進国以外にもインドネシアやタイでの成長も期待されている。また東南アジア市場全体では6億人以上の潜在ユーザーがおり、そのうちインドネシアだけで2億5,000万人を超える人口を抱えている。

東南アジア市場におけるモバイルゲームの急速な成長の背景にはスマートフォンの普及があげられる。シンガポールではほとんどの携帯電話端末がスマートフォンであり、マレーシアでもスマートフォンの普及率は80%、タイ49%、ベトナム36%、インドネシア23%、フィリピン15%である。今後も地場メーカーの台頭によってスマートフォンの低価格化はますます進んでいくため、あっという間にスマートフォンは普及していくことが予想される。

東南アジア市場では高価なiPhoneを購入できるのは一部の富裕層や通信事業者が割引プランを提供しているシンガポールやタイ、マレーシアなど一部の地域に限定されており、スマートフォンのほとんどはAndroidである。現在は地場メーカーのスマートフォンも台頭してきて100ドル前後の端末が主流であるが、モバイルゲームのアプリを楽しむには十分な容量である。たしかに普段ハイエンドの端末を利用していると、サクサク感がないと思うが、最初から「こんなものか」と思って使っていれば、安い地場のスマートフォンでもゲームをするのにほとんど問題はない。

■モバイルゲーム普及の背景としてのWi-Fi普及

東南アジア諸国では主に大都市ではスマートフォンが急速に普及していることと並行して、Wi-Fiも急速に拡大している。コンビニエンスストアやレストラン、デパートなどでも無料(または安価)でWi-Fiが利用できるところが非常に多い。そのようなところに若者の多くが集まってスマートフォンをいじっている風景はよく見かける。

特に大学の構内では学生や職員は無料でWi-Fiを利用できるので、大学で授業が終わっても帰宅しないでスマートフォンやラップトップに向かっている。そのような通信環境の改善がモバイルゲームの普及の背景にある。東南アジアではスマートフォンを利用していても、多くの人がデータ通信もプリペイドで利用している。そのため、データ通信は無料で利用できるWi-Fi環境下で利用していることが多い。特にアプリのアップデートなどでプリペイドのデータ通信費が、知らないうちに消費されていることに対しては不満や怒りを感じている若者が多い。無料のWi-Fi環境であれば、そのような通信費を気にせずにアプリのダウンロード、アップデート、通信もできる。また無料Wi-Fiのスポットは多くの若者が集まるために、YouTubeの動画閲覧は回線が遅くてストレスがたまることも多いが、ゲームであればそれ程のストレスは感じないので、モバイルゲームをするのには最適な環境である。このように東南アジアにおける無料や安価に利用できるWi-Fi環境の整備は、同地域でのモバイルゲーム拡大の後押しをしている。余談だが、無料Wi-Fiスポットの急速な普及で東南アジアでは5年くらい前まで一般的だったインターネットカフェが激減した。

■今後もネックになる支払い手段とお金の感覚

フロスト&サリバンでは東南アジアでのモバイルゲームの収入増においてネックになることの1つとして支払い手段を上げている。シンガポールとマレーシア以外ではクレジットカードの普及率は10%以下の国も多い。またプリペイドのバウチャーカードが購入できるとこも限られている。

さらに、東南アジアの多くの人はまだアプリにお金を払って使うという感覚がない人が多い。「無料だから利用するけど、ここから先はお金がかかる」というゲームなら無料のところまでは遊ぶが、そこから先に課金するのは、ほんの一部のユーザーである。

日本人は10年以上前からお金を支払ってモバイルコンテンツを購入して、楽しむということに慣れ親しんできた。しかし東南アジアの多くの人にとって「お金を払ってモバイルコンテンツを購入して楽しむ」という金銭感覚はまだ少ない。東南アジアでは「無料だから遊んで、楽しむ」という人が多い。通信費も無料のWi-Fi環境に行き、LINEやFacebookメッセンジャーのような無料のチャットアプリで楽しみ、無料でYouTubeの動画を見ることが多い。

支払い手段としてクレジットカードが普及したからといって、どこまでお金を支払ってまでモバイルコンテンツを購入するかは不明だ。プリペイドが主流の新興国ではお金に対して、非常にセンシティブなのだ。

スマートフォンが急速に拡大し、通信環境も整備されてきている東南アジア諸国だが、これからも彼らの金銭感覚がモバイルゲームの収入増のネックになってしまう可能性も否定できない。

▼東南アジア各国でのモバイルゲームおよびメッセンジャーアプリの人気アプリ

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(Frost & Sullivan プレスリリースより)

東南アジアにおけるモバイルゲーム拡大の背景にはソーシャルメディアやチャットアプリの普及もあるとフロスト&サリバンは指摘している。

▼インドネシア大学の構内でWi-Fi環境下でゲームやチャットを楽しむ若者たち。

(暑いので、冷たい床に寝そべってスマートフォンをいじっている)

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