Yahoo!ニュース

「セックス・アンド・ザ・シティ新章」にエイダンが復帰。キャリーとの過去をおさらい

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
「And Just Like That...〜」第2シーズンにはエイダンが復帰

「AND JUST LIKE THAT.../セックス・アンド・ザ・シティ新章」が、やっと「セックス&ザ・シティ」らしくなってきた。一昨年の末に配信開始した第1シーズンはファンに不評だったが、6月にスタートした第2シーズンには、セックスと楽しさが戻ってきたのだ。

 第1シーズンは初回でミスター・ビッグ(クリス・ノース)が急死するので、暗くなったのは、ある意味しかたがない。だが、ほかにもミランダ(シンシア・ニクソン)がアルコール依存症になったり、彼女がノンバイナリーのチェ(サラ・ラミレス)のために夫スティーブ(デビッド・アイゲンバーグ)を捨てたりと、あちこちにしっくりこない部分があった。50代なかばになった彼女たちに30代と同じようなことをやらせるわけにはいかないにしても、年齢を意識したエピソードがいろいろ盛り込まれていて、「50代は辛いばかりじゃないよ」と言いたい気持ちにもさせられたものだ。

 しかし、第2シーズンはもっと明るい雰囲気で、キャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)も、夫スタンフォード(ウィリー・ガーソン)に突然捨てられてしまったアンソニー(マリオ・カントーネ)も、また恋を見つける。そしてキャリーのお相手は、ファンにお馴染みのエイダン(ジョン・コーベット)なのだ。

 今シーズンにエイダンが出てくることはシーズン開始前からわかっていたが、今回、彼は映画「セックス・アンド・ザ・シティ2」のようにちょっとだけ出るのではなく、今後のストーリーでかなり重要になっていきそうな気配だ。この機会に、キャリーとエイダンの過去を振り返ってみよう。

出会いと最初の破局

 出会いのきっかけを作ったのは、スタンフォード。ある家具デザイナーについての記事を「New York Times」で見たスタンフォードは、掲載されている顔写真を見せて、このデザイナーの店に行こうとキャリーを誘う。その家具デザイナーが、エイダンだ。店に着いて彼の存在を確認すると、スタンフォードは「彼はストレートだよ。ゲットしなよ」とキャリーにけしかける。するとエイダンの愛犬ピートがキャリーに寄ってきて、自然な会話に発展した。ふたりはすぐに惹かれ合い、エイダンはキャリーをディナーに誘う。

 そこから交際が始まるのだが、キャリーは今や別の女性と結婚している元恋人ミスター・ビッグ(クリス・ノース)と不倫関係に陥ってしまう。ビッグの妻にばれてしまって不倫は終わるも、罪悪感を覚えるキャリーは、迷った挙句、シャーロット(クリスティン・デイヴィス)の結婚式に出かけようとしている時、エイダンに白状する。ショックを受けたエイダンは結婚式を欠席。後に式場の外に現れた彼にキャリーは謝罪し、許してもらおうとするが、彼は「これは僕が乗り越えられることではない」と言い、「君のことを本気で愛していたよ」という言葉を残して去っていってしまう。

よりを戻し婚約するも…

 それからだいぶ時間が経ったある日、キャリーは、ミランダの元恋人スティーブがエイダンと一緒にバーをオープンすると知って驚く。オープニングパーティで軽く会話を交わし、寄りを戻したいと思ったキャリーは、それまで使ったことのないメールを使って(時代は2000年。すでに多くの人がメールを使っていたがキャリーは遅れていた)エイダンに「あなたが恋しい」とメッセージを送る。それに対する返事はなく、ついにキャリーは勇気を持って電話をし、ミランダ、スティーブと4人で食事をすることになる。食事の後、キャリーは「今の自分は前とは違う」とエイダンを説得しようとするが、「君は僕を傷つけたんだ!」と言われてしまう。だが、しばらく考えた後、エイダンはキャリーに「もう一度やってみよう」と言って、再び交際が始まる。

 そんな中、キャリーがずっと借りてきたアパートの状況が変わり、購入しないなら出ていかないといけなくなってしまった。するとエイダンはお金を出してあげると申し出て、キャリーの部屋だけでなくその隣も買って広げようと提案する。その工事をやってくれるのもエイダンだ。そうやって同棲生活が始まったが、ある日キャリーはエイダンがこっそり用意している婚約指輪を見てしまい、吐いてしまう。キャリーは結婚に乗り気でなかった上、その指輪のデザインも気に入らなかったのだ。しかし、実際にプロポーズされた時に見せられたのはとても素敵な指輪で、キャリーは「イエス」と返事をする。

またもやエイダン役を演じるジョン・コーベットは、現在62歳
またもやエイダン役を演じるジョン・コーベットは、現在62歳

 それでもキャリーはその指輪を薬指につけることはなく、エイダンに結婚式はハワイにするかと聞かれても、「もっと時間がほしい」と渋るのだった。エイダンは理解を示してくれるが、ある夜、一緒に出かけた後、せっかく綺麗な服を着ているのだし、今から空港に行って、ラスベガスに飛んで結婚してしまおうと提案する。だがキャリーは応じず、エイダンは「今結婚したくないならいつまでもそうだろう」と、立ち去っていく。

思わぬところで素敵な再会

 次にふたりがニューヨークで偶然再会するのは、キャリーがバーガー(ロン・リビングトン)と初デートをしようとしていた時。驚いたことにエイダンは男の子の赤ちゃんを抱いていた。別れた後、彼はキャシーという名の家具デザイナーと結婚したのだという。しかし、ふたりの間には、まだ温かい感情があった。

 そして2010年の映画「セックス・アンド・ザ・シティ2」で、ふたりはなんとアブダビでまたもや再会することになる。キャリーはミスター・ビッグと結婚していて、エイダンはキャシーとの間に3人の息子を持つようになっていた。にもかかわらず、ディナーの後、ふたりはキスをしてしまう。キャリーはそのことをミスター・ビッグに正直に話し、もう二度としないと誓った。

またもや恋に堕ちたふたりの今後は

(*ここからは『AND JUST LIKE THAT...〜』第2シーズンのネタバレがあります)

 それからまた長い時間が経った今、会って食事をすることになったのは、キャリーがエイダンにメールを送ったからだ。この時までにエイダンは離婚し、キャリーは夫を亡くしてシングルに戻っていた。ふたりはすぐにまた恋に堕ちるが、悲しい思い出があるキャリーの家に足を踏み入れることをエイダンは拒否し、ヴァージニア州に住む彼がニューヨークに来る時にはホテルでデートをするようになった。

 それはさすがに出費がかさむため、チェのアパートに泊まらせてもらうよう手配をするも、それもうまくいかなくなり、キャリーは思い入れのある家を手放して、別の場所に新たな家を買うことを検討する。エイダンが息子を連れて来る場合に備え、もっと大きな家だ。エイダンの元妻キャシー(ローズマリー・デウィット)は元夫の新たな恋を受け入れるも、キャリーに「また彼を傷つけないようにしてほしい」と優しくお願いし、今度また同じようなことになったら、息子たちも傷つくのだという事実を思い出させる。

キャリーはエイダンのために新たな家の購入を考える
キャリーはエイダンのために新たな家の購入を考える

 キャリーには、その覚悟がある。エイダンとあまりにもうまくいくことから、ビッグを選んだのは大きな間違いだったのではないかと思うようになったほどなのだ。だが、この幸せな状態はずっと続き、今度こそキャリーとエイダンは永遠のパートナーとなるのだろうか。

 オリジナルのシリーズからプロデューサーを務めるマイケル・パトリック・キングは、「また失敗に終わるためにエイダンを連れ戻したのではない」と語っている。それは大きなヒントかもしれない。とは言っても、第3シーズンも作る予定でいるようなので、まだこれからいろいろなことが起きていくはずだ。もっとも、第3シーズンがあるかどうかは、第2シーズンの成績にかかっている。このシーズンも残すところ2話。最終回にはサマンサ(キム・キャトラル)も登場するというし、ファンとしてはぜひ、この後の展開を楽しみに見届けたい。

場面写真クレジット:(c) 2023 Warner Bros. Discovery Inc.

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

猿渡由紀の最近の記事