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ハリー王子とメーガン妃は戴冠式に出席すべき?オプラ・ウィンフリーの“アドバイス”に世間が反応

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 チャールズ国王の戴冠式が刻々と迫る中、次男であるハリー(ヘンリー)王子とその妻メーガン妃が出席するのかどうかは、いまだにはっきりしていない。

 英国王室を離脱し、カリフォルニアに拠点を構えたハリー王子とメーガン妃は、2021年3月、アメリカで最も影響力を持つセレブであるオプラ・ウィンフリーのテレビインタビューに応じ、王室の悪口を吐露。そのすぐ後にはウィンフリーとハリー王子が共同プロデュースするメンタルヘルスについてのドキュメンタリーシリーズ「あなたに見えない、私のこと」でハリー王子が、昨年末にはNetflixの「ハリー&メーガン」で夫婦揃って、“被害体験”を延々と述べた。さらに年明けにはハリー王子の回顧録「Spare」が発売され、ベストセラーになっている。この本にウィリアム王子から受けた暴力や、カミラ王妃への非難が書かれていることは、発売前から世界中が知ることになった。

 王室側はその都度反論せず、ノーコメント。それどころか、5月6日のチャールズ王の戴冠式にも、夫妻に招待状を送った。だが、彼らは、自分たちが散々悪者にした家族に直面する場所へ、のこのこと出かけていくのだろうか?故ダイアナ妃にずっと仕えたバトラーは「メーガン妃には来る勇気がないだろう」とハリー王子が単独で出席するのではないかと憶測。ソーシャルメディアには「さらなるネタを仕入れるために出席するのでは」などという一般人の予想が飛び交っている。そんな会話に、夫妻と親しいウィンフリーが参加した。

 CBSの朝番組に出演したウィンフリーは、やはりメーガン妃と親しい司会者ゲイル・キングから「彼らは出席するべきだと思いますか?出席するべきではないと思いますか?あなたの意見を聞きたいです」と言われると、「彼らは、自分たちと自分たちの家族のためにベストだと思うことをやるべきだと思います。それが私の意見」と発言。続けて、「そこが最も肝心。自分がそうしたいと思うことが正しいのです」とも言い、さらに「彼らは私に聞いてきてはいませんけどね。私の意見は尋ねられていません」とも明かしている。

 ソーシャルメディアには、それを聞いた人々から多くの反応が寄せられた。その多くはネガティブだ。

「あのふたりにアドバイスをするなら、(2021年の)インタビューの前にやるべきだった。もうあのふたりに関わるな」「あのふたりの評判が落ちたのはオプラのせい」「彼(ハリー王子)の父のためにベストなのは何かとは考えないんだね。あの夫妻と一緒で、大事なのは自分だけか」とウィンフリーを批判するものもあれば、「ロイヤルファミリーを公にこきおろすのは彼らにとって『ベスト』だったというの?あんなことをやっておいて戴冠式に出るとしたらすごい偽善」「オプラ、ゲイル、ハリー、メーガン、みんなどうでもいい。ミリオネアとロイヤルファミリー」と両方を批判するものもある。

 また、2021年のウィンフリーによるインタビューの時、アメリカではメーガン妃とハリー王子への支持が高かったのに、夫妻がメディアへの露出を続けるにつれて印象が変わってきたのを受け、ウィンフリーはあえて距離を置いているのではないかとの推測もある。「私の意見は尋ねられていません」と言うことで、それを示したかったのではないかというのだ。それとは逆に、そう言ったのは、夫妻がそうしてくれないことへの愚痴ではないかとの読みもある。「オプラは夫妻が自分たちの家族のために『ベストなこと』を一度もやっていないのを知っている。そしてあえてその手助けをしたのだ。彼女自身の悪意を暴くために、誰かがオプラを徹底してインタビューするべき」という、非常に厳しい意見も見られた。

メーガン妃とのべったりぶりでウィンフリーの人気は低下

 ウィンフリーは長い間、一般人の心を忘れない、思いやりのある人として、アメリカで圧倒的に愛されてきた人物だ。テレビ番組の司会者で成功したが、「カラーパープル」(1985)ではオスカーの助演女優部門にノミネートされたし、自分のテレビネットワークも持ち、雑誌を出していたこともあるなど、幅広い活動をしている。彼女に褒められた本はたちまちベストセラーになるなど、人々からの信頼はとても厚い。2021年のメーガン妃とハリー王子のインタビューが放映された後も、「オプラのインタビューのスキルはさすがだ」と評価されたものだ。

 しかし、その後、そのインタビューでメーガン妃の発言に嘘があったと指摘されても、ウィンフリーは口を閉ざしたまま。また、あのインタビューの直後に「あなたに見えない、私のこと」が配信されたことで、ウィンフリーが夫妻を金儲けに利用しているのが見え見えになってきた。「ハリー&メーガン」の中で、夫妻が最初に住んだケンジントン宮殿内のノッティンガム・コテージを見たウィンフリーが、「(プリンセスがこんなところに住んでいるなんて)誰も信じないわ」と呆れたように言った、とメーガン妃が語ったことも、「一般人の心を忘れない」というイメージを大きく損ねてしまっている。

 そんなことが重なり、昨年末、Ranker.comが行った調査で、ウィンフリーは、「最も名前を聞きたくないセレブ」の3位にランク入りしてしまった。1位はメーガン妃、2位はハリー王子、5位はハリー王子と親しいジェームズ・コーデンで、この夫妻とその協力者に人々が辟易していることは明らかである。

 好感度の高さを売りに商売をしてきたウィンフリーにとって、これは大きな痛手。彼女の言葉が一般人に対して持つ説得力は以前より確実に落ちた。それは、メーガン妃とハリー王子に対しても同じなのではないか。あれほどウィンフリーを尊敬してきたメーガン妃が、戴冠式に出席すべきかどうかについて意見を聞かないというのは、その表れなのではないか。もしかしたら、距離を置いているのはウィンフリーだけでなく、お互いさまなのかもしれない。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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