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「最もイラつくセレブ」1位はメーガン妃。アンバー・ハードは4位

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
メーガン妃は首位、ハリー王子は2位を獲得(写真:REX/アフロ)

 2022年、「その名前を聞きたくない」と最も感じさせたセレブはメーガン妃。世界のどこからでも一般人が投票できるコンテストは、サセックス公爵夫人に、そんな不名誉を与えた。

 この投票は、Ranker.comがネット上で行ったもの。投票期間中、ランキングは常にアップデートされていたが、年末に締め切られ、最終結果が出た。首位のメーガン妃が獲得した票は24,201。2位は彼女の夫ハリー(ヘンリー)王子で、21,492だ。このカップルは、先月Netflixで配信開始されたドキュメンタリー「ハリー&メーガン」で、また大きな批判を浴びたばかり。ハリー王子の回顧録が今月出版されるのに合わせ、彼らによるイギリス王室バッシングを近々さらに聞かされるであろうこともあり、多くの人は「もういい加減にしてくれ」と感じているようだ。

 3位にオプラ・ウィンフリー、5位にジェームズ・コーデンが入ったことも、この夫妻に大きく関係していると思われる。ウィンフリーはアメリカで絶大な人気と尊敬を得てきた人物で、少し前ならこんなところに入ってくることなど考えられなかった。しかし、2021年春に放映され、大きな物議を醸し出したメーガン妃とハリー王子のインタビューでインタビュアーを務めたのは、彼女。放映当初こそ、アメリカでは、ウィンフリーのインタビュワーとしてのスキルはさすがだと褒められたりしたが、時間が経つにつれ、そこで語られたことの信憑性に揺らぎが出てきた。また、それからまもなくハリー王子とウィンフリーが共同製作するドキュメンタリーシリーズが配信開始になったことで、彼らの間にある密接なビジネス上の関係が、よりはっきり見えてきてもいる。インタビュー放映後、メーガン妃の父は、ウィンフリーはこのふたりを利用していると批判した。

メーガン妃とハリー王子の結婚式に出席したオプラ・ウィンフリー
メーガン妃とハリー王子の結婚式に出席したオプラ・ウィンフリー写真:代表撮影/ロイター/アフロ

「ハリー&メーガン」の中にも、ウィンフリーの名前が何度か登場する。夫妻が最初に住んだケンジントン宮殿内のノッティンガム・コテージについて、いかにも酷いところだったかのようにふたりが語ったことは多くの視聴者を不快にさせたが、このコテージを訪ねてきたウィンフリーも、「こんなの誰も信じないわ(プリンセスがこんなところに住んでいるなんて、という意味)」と、けなすようなことを言ったというのだ。大金持ちになっても一般人の気持ちがわかる人というのが売りのウィンフリーにとって、あのシーンは決してプラスにはならない。

 イギリス人コメディアン、歌手、テレビ司会者のコーデンは、ハリー王子ととても仲が良いことで有名。昨年は、コーデン本人についても、ニューヨークの有名レストランでスタッフに失礼な行動を取ったせいで出入り禁止になったという悪いニュースが出ている。

 というように、トップ5のうち4人がサセックス公爵夫妻とその関係者で占められたが、残りひとつのスポット、すなわち4位を獲得したのはアンバー・ハードだった。昨年春にジョニー・デップとの名誉毀損裁判が始まるまでは知名度も低かった彼女だが、裁判のライブ中継で嘘が次々に露呈され、ネガティブな意味で有名になってしまった。

 6位以下は、コメディエンヌでテレビパーソナリティのエレン・デジェネレス、アレック・ボールドウィンの妻でヨガインストラクターのヒラリア・ボールドウィン、モデル、テレビパーソナリティ、料理本の著者クリッシー・テイゲン、ミュージシャンのカニエ・ウエスト、彼の元妻であるリアリティ番組のスター、キム・カーダシアンの順。

 優しさを売りにしてきたデジェネレスは、2020年夏、彼女の番組の元スタッフが酷い職場環境について暴露したことで、大きなイメージダウンを被った。テイゲンは、2021年、10年前にリアリティ番組のスターに送ったいじめのツイートとDMのことが話題になり、批判されている。

スペイン人をうたってきたアレック・ボールドウィンの妻は、名前もヒラリアではなくヒラリーだったことが明らかにされた
スペイン人をうたってきたアレック・ボールドウィンの妻は、名前もヒラリアではなくヒラリーだったことが明らかにされた写真:ロイター/アフロ

 常にお騒がせのウエストとカーダシアンは、素直に納得。ただ、7位に、やはり昔からお騒がせ人物であるアレック・ボールドウィンではなく(たとえば彼が『Saturday Night Live』でやったトランプの物真似は、民主党支持者からは大ウケだったが、保守派から反感を買った)妻が入ったのは、やや意外と言える。もっとも彼女は2年前、“経歴詐称”がバレて大恥をかいた。それまでずっとスペイン人を装い、スペイン語訛りで話したりしていたのに、実はアメリカ生まれのアメリカ人だったのだ。また、2021年秋、夫が撮影現場で誤射事件を起こし、パパラッチにつきまとわれた時には、冷静に対応している夫の前に敵意丸出しででしゃばってきた。まあ、パパラッチに敵意を持つのは十分理解できるが、その動画を見た時の違和感を忘れられない人も結構いるのかもしれない。

 そのほか、トップ10圏外に入ったセレブには、マドンナ、ウィル・スミス、ジェニファー・ロペス、アンジェリーナ・ジョリーなどがいる。決して光栄なことではないにしても、それはこの人たちが有名であることの証でもある。無名な人には誰も投票しないのだから。それに、「ハリー&メーガン」が見せつけたように、所詮、“悪いパブリシティ”というのはないのかもしれない。あちこちで批判されたことでこのシリーズは逆に興味を持たれ、どこまで酷いのかと“ヘイトウォッチ”する人が増えて、今や配信アクセスのトップに君臨しているのだ。そうは言っても、2023年は、これらの人たちについて何かポジティブなニュースが出て、人々が抱くイメージが少しでも変わる年になることをお祈りしたい。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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