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コロナに感染した米コメディエンヌ「抗体はすぐに消えてしまった」

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
アメリカで大人気を誇るティファニー・ハディッシュ(写真:ロイター/アフロ)

 一度感染したからといって、大丈夫とはかぎらない。アメリカの人気コメディエンヌ、ティファニー・ハディッシュが、油断ならぬ新型コロナの現実を教えてくれた。

 ハディッシュが体験談を明かしたのは、自らのYouTubeチャンネル。国立アレルギー・感染症研究所の所長でアメリカにおけるコロナ対策の権威であるアンソニー・ファウチ博士をゲストに招き、リモートで30分以上にわたって対談する中でのことだ。彼女が最初にコロナを身近に感じたのは、映画の撮影現場で誰かがコロナに感染し、撮影が中断されて、PCR検査を受けるよう言われた時。彼女はその人と身近に接触したことはなく、結果は陰性だった。しかし、それからすぐ、また別の人に陽性反応が出たことがわかり、再び検査を受けると、今度は陽性。症状はまったくなかったが、自分がウィルスをもっていると知って、彼女は隔離生活を送る。その後、あらためて受けた検査は陰性で、抗体検査では抗体が「ある」と出た。だが、つい最近、また検査を受けると、もう抗体がなくなっていたというのである。

 彼女の話を聞いて、ファウチ博士は、「このウィルスについては、まだわからないことがたくさんあります。これから多くのことがわかっていくはずですが、一度かかったからといって『もう大丈夫』と思ってはいけません。それがいつまであなたを守ってくれるのか、わかりません。だから、自分で自分を守り続けないと。人が集まるところに行かない、マスクを必ず着用する、ほかの人との間に6フィートの距離を守る、頻繁に手を洗うということを続けてください」と述べた。ハディッシュが、「自分がマスクをしないのは、つい最近、検査を受けて陰性だとわかった人といる時だけ。ダメですか?」と聞くと、ファウチ博士はあらためて、「あなたには長く活躍してもらいたいですから」と、気を抜かず、注意を払い続けるよう促している。

 また、ハディッシュが、「ワクチンができたとしても自分は使いたくない。健康になろうとして病気になったりしたら嫌」と不安を述べると、ファウチ博士は、今、どのような形でどんな規模のテストが行われているのか、どうしてアフリカ系アメリカ人にも参加してもらわないといけないのか、ワクチンはどう作用するのかなどを説明した。ワクチンができた場合、誰が最初に受けるのかには優先順位があるが、「自分の番が回ってきたらもちろん受けます」とも、ファウチ博士は語っている。

ドウェイン・ジョンソンもコロナ感染の経験を告白

 先週はまた、ドウェイン・ジョンソンが、コロナに感染した経験をインスタグラムビデオで明かしている。自分、妻、幼い娘ふたりが感染したことは、彼にとって、「ひどいケガをしたり、アパートを追い出されたり、一文無しになったりした時よりも、もっと辛い」出来事だった。「家族を守ることは一番大事だから。それはみなさんも同じでしょう」という彼は、「今、僕たちはそれを乗り越えました。もう他人に感染させることはありません。僕たちは、もう健康です。そうご報告できる自分たちは恵まれています」と述べる。

 感染経路は、家族ぐるみで親しくしている友人だそうだ。その友人一家はコロナ対策をきっちりしていたが、ジョンソン一家に感染させることになってしまって、「とても申し訳ないと思っている」とのことである。ジョンソン一家も、3月のロックダウンの時から、コロナには非常に気をつけていた。しかし、今回の経験を得て、「親しい友人や家族を絶対に家に呼ばないとまでは言わないが、来る前日にPCR検査を受けてもらうことを徹底することにした」という。ほかに、彼は、免疫を高めるよう心がけようともファンに呼びかけた。そうすることで、感染した場合、生き延びられるチャンスが増えるからだ。「僕は、みなさんのことを大切に思っています。どちらの政党の支持者なのか、どこの国の人なのか、どんな皮膚の色なのか、職業は何なのか、お金があるのかないのかなどは、気にしません。あなたに、そしてあなたの家族に、コロナに感染してほしくありません」とも、彼は語っている。

 ジョンソンの友人で、映画で共演もしているコメディアンのケビン・ハートも、先月下旬になって、パンデミックの初期にコロナに感染していたことを告白した。今まで言わなかったのは、「トム・ハンクスと同じ頃で、自分よりずっと有名な彼が先に告白したから」とのことだ。また、アントニオ・バンデラスも、60歳の誕生日をコロナにかかった状態で過ごすことになっている。彼は、21日の隔離生活を経て回復したそうだ。最近コロナ感染を告白したセレブには、ほかにアリッサ・ミラノ、ブライアン・クランストン、レナ・ダナムなどがいる。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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