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「スター・ウォーズ」出演俳優、新型コロナで死亡。CNNアンカーも感染

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
CNNのアンカーでNY州知事の弟クリス・クオモ(写真:ロイター/アフロ)

 新型コロナがアメリカのエンタメおよびメディア業界を、ますます脅かしている。トム・ハンクス夫妻が回復してL.A.に戻ってきたという朗報が聞かれる中でも、毎日のように新たな感染者が増えているのだ。先週は、伝説の劇作家テレンス・マクナリーでセレブ初の死亡例が出たが、西海岸時間31日には、「スター・ウォーズ」などに出演した俳優アンドリュー・ジャックが亡くなっている。享年76歳。

 役にふさわしい訛りを教えるダイアレクト・コーチとしても活躍してきたジャックは、つい最近も、「Batman」のためにロバート・パティンソンにアクセント指導をしていたという。昨年の「アベンジャーズ/エンドゲーム」「メン・イン・ブラック:インターナショナル」では、クリス・ヘムズワースのコーチを務めた。役者としての最近作は、「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」で、役柄はイーマット将軍。また、「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」では、モロック役で声の出演をしている。

 同じく31日には、CNNの看板アンカー、クリス・クオモ(49)が感染したこともわかった。前日にも、彼は自宅から番組に出演していたのだが、検査の結果待ちの状況だったようだ。彼の兄でニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモによると、陽性と判明したのは31日朝とのこと。州知事は、定例の新型コロナ関連会見でそのことに触れ、「私の弟は若いし、体力もあるので大丈夫です。彼は強い。でも、自分で思っていたほど強くはなかったということ。記者である彼はいろいろなところに行きますから、必然的に感染のチャンスが高くなります」と語った。さらに彼は、「このウィルスは誰に対しても平等。どんなに頭が良くても、どんなに金持ちでも、若くても、年寄りでも、関係ないのです」とも述べている。CNNのニューヨークオフィスでは、これまでにも2人、感染者が出ている。

現地時間30日、クリス・クオモは自宅から番組に出演していた(筆者撮影)
現地時間30日、クリス・クオモは自宅から番組に出演していた(筆者撮影)

 ほかに、トム・ハンクス監督作「すべてをあなたに」でオスカーの歌曲部門にノミネートされたソングライターのアダム・シュレシンジャー(52)が、現在、病院で治療を受けているとのことである。エミー賞、グラミー賞も受賞した大ベテランで、映画では「ラブソングができるまで」「アイス・エイジ4:パイレーツ大冒険」などに歌を提供してきた。また、グルメコンテスト番組「Top Chef Masters」に出演した有名シェフ、フロイド・カルドス(59)は、Netflixの番組「Ugly Delicious」の撮影で訪れていたインドからニューヨークに戻った3月半ばに感染が判明。先週ニュージャージーの病院で亡くなっている。スポーツ界では、ニューヨーク・ニックスのオーナー、ジェームズ・ドーラン(64)や、テニスのコメンテーターでジョン・マッケンローの弟、パトリック・マッケンロー(53)に、陽性反応が出た。

 一方で、先に感染を公にしていたイドリス・エルバ(47)とダニエル・デイ・キム(51)は、ソーシャルメディアで隔離生活の日常を引き続き語っている。エルバは、最新のツイートで、「とくに変化はありません。医師によると、隔離が終わった後、抗生物質のおかげでしばらく免疫ができるとのこと。ロンドンの自宅に戻りたいです」と報告。キムは、陰性だった家族のためにと除菌シートをeBayで買ったところ、9年前に有効期限が切れている商品が送られてきたというひどいエピソードを語った。「コロナウィルスは人の最悪の部分をさらしだすという、典型的な例ですね」と言う彼は、別のツイートで、「ヘイトのコメントを送ってくる人は最も無知な人たちなのだと言うことも、今回の経験で学びました」と書いている。

 

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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