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リンジー・ローハンがまたもやお騒がせ。「トランプをいじめないで」「人の悪口は言うべきじゃない」

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:Shutterstock/アフロ)

リンジー・ローハンが、またもや騒ぎを起こしている。先週後半に始まった一連のトランプのツイートに共和党内でも批判が出ている中、ローハンがトランプを弁護するコメントをツイッターに投稿したのだ。

ローハンの投稿は、トランプが、遺伝子疾患を持って生まれたイギリスの赤ちゃんを助けようとしていることに触れたもの。ローハンは、「私たちの大統領は、こういう人なのよ。彼のことをいじめるのはやめて。彼のことを信頼して。アメリカを支持してくれることに、個人的に感謝します」と書いた後、さらに別のツイートで、トランプ本人とメラニア、イヴァンカをタグし、「この人たちは親切な人々。アメリカ人は、誰のことも悪く言うべきじゃないわ」と書いた。

またもや女性を敵に回したトランプのツイート

このイギリスのチャーリー・ガード君の件は、トランプが人々の関心をそらす目的でとった行動と考えられている。トランプは、先週、まずMSNBCの「Morning Joe」のホスト、次にCNNを攻撃するツイートを連続して出し、これまで以上に批判を受けているところなのだ。

「Morning Joe」のジョー・スカボローとミカ・バーゼジンスキーを侮辱するトランプのツイートが投稿されたのは、先週木曜日。「視聴率の取れない『Morning Joe』が、私の悪口を言っているようだ(もう見ていないが)。ならば、なぜIQの低いミカと気の狂ったジョーは、大晦日に3日連続でマー・ア・ラゴにやってきて、私にも来てくれと頼んできたんだ?彼女はフェイスリフトのせいで血を出していた。私は断った」というものだ。

スカボローとバーゼジンスキーは、すぐに反撃。翌日「Washington Post」に掲載された意見記事で、ふたりは、マー・ア・ラゴの件は嘘だらけであるとし、本当の状況を説明した。さらに、「Morning Joe」がたびたび自分を批判することに腹を立てていたトランプは、今年、側近を通じ、ふたりについての良くない話を「The National Enquirer」に書かせると脅したという事実も明かしている(スカボローとバーゼジンスキーは婚約しているが、私生活での関係を公にしたのは最近である)。「The National Enquirer」は、選挙中からトランプを支持してきた、ごくひとにぎりのメディアのひとつ。ゆすること自体、信じられないが、使う媒体が、まともに教育を受けた人は絶対読まないこの嘘だらけのタブロイドというところでも、トランプのレベルがわかる。

トランプは過去にも女性のルックスをばかにする発言をたびたびしてきたが、実際に大統領になった今も、またこのようなコメントをしたことで、女性たちから新たなる怒りを買った。共和党の女性議員ですら、テレビで堂々と批判したほどだ。トランプには不本意なことに、この騒ぎで、「Morning Joe」は、一気に視聴率を伸ばしている。

そして日曜日、トランプは CNNを攻撃した。ツイートされた映像で、トランプは、顔にCNNのロゴがついた男性を、こてんぱんに殴りつけている。ハッシュタグは「#FraudNewsCNN(フェイクニュースのCNN)」。 トランプのCNN嫌いは有名だが、この子供じみた仕返しについて、「New York Times」のエクゼクティブ・エディター、ディーン・バケットは、「大統領が、記者が仕事をすることを批判するなんて、考えられないこと」とコメントしている。

トランプはローハンについても下品な発言をしている

かなり昔ではあるが、トランプは、ローハンについても下品なことを言っている。2004年、トランプは、毒舌で有名なハワード・スターンのラジオ番組で、ローハンのことを、「彼女はすごく問題を抱えた子だね。だからベッドですごく良いだろうね。すごく問題のある女は、なぜかベッドでとても良いんだよ」と語ったのだ。当時、彼女は18歳である。

その発言は、昨年の選挙期間中にも、何度か持ち出された。選挙中、ローハンはヒラリー・クリントン支持を表明し、トランプが勝った時には「票を数え直して」とも言っている。だが、就任後には「ご成功をお祈りします」というなど、ほかのハリウッドスターのように、強い反トランプの態度は示してこなかった。

それでも、このツイートは驚きである。

アメリカ時間5日にpolitico.comが発表した意見調査によると(Poll: Trump’s ‘face-lift’ tweet crossed line)、トランプのバーゼジンスキーに対する“フェイスリフト”コメントを「容認できない」と答えた人は、65%。共和党支持者も46%が「容認できない」とし、「容認できる」としたのは、全体の16%だった。ローハンはなぜ、このタイミングで、世間から反感を持たれるとわかっていることをわざわざ言ったのか。

すっかりスクリーンから遠ざかっているローハンは、最近、アクティビストも名乗っており、トルコにいるシリアの難民を訪れたり、イギリスのEU離脱に関していくつかの政治的ツイートをしたりしている。それらのツイートは意味不明で、人々は首を傾げたのだが、とりあえず話題にはなった。今回のことも含め、すべては、世間から忘れられないための手段なのだろうか。

30歳の誕生日を迎えた昨年、ローハンは、「Vanity Fair」に対し、映画に出たい、自分のチャリティを立ち上げたい、本を書きたいなど、今後の抱負を語った(リンジー・ローハン、30歳に。波乱万丈のこれまでを振り返る)。それから丸々1年たつ今、それらはどれも実現する気配がないままだ。落ちたところから這い上がるのだから、何をやるにしても、これまで以上の努力が必要。ツイートをやっている暇があればそちらに専念するべきだと言おうとして気づいたが、もしかしてローハンとトランプには、意外なところで通じるものがあるのかもしれない。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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