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ジョニデ離婚: アンバー、新たに有名弁護士を雇う

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(写真:Splash/アフロ)

裁判まで秒読みとなる中、ジョニー・デップとアンバー・ハードが、離婚条件の成立を急いでいる。ハードはデップに相当多額のお金を要求していたそうだが、金額は800万ドル(約8億円)前後で合意が取れたようだ。

それでも成立に至らないのは、公に向けてふたりが出す共同声明の内容のせいらしい。ハードの情報源がTMZ.comに語ったところによると、ハードは、5月21日にデップがハードに対してDVを行ったことを、声明の中で認めるよう要求しているのだそうだ。自分が嘘をついていると世間に見られているのがわかっているだけに、ハードとしては、そのひとことを入れて、イメージ回復を図りたいのだろう。もちろん、自分はやっていないという主張を通し続けてきたデップが、それを了解するはずはない。

ハードはまた、この段階になって、新しい弁護士をもうひとり雇っている。ピアース・オドネルという、ハリウッドではよく知られたベテランだが、やや曲者でもある。

オドネルは、80年代末、コラムニストのアート・バックウォールドが、「星の王子ニューヨークへ行く」は自分が書いたものの盗作だとしてパラマウント・ピクチャーズを訴訟した時、バックウォールドの弁護をし、見事、勝訴に導いた人だ。最近では、NBAチーム、ロサンゼルス・クリッパーズのオーナー、ドナルド・スターリングの人種差別発言スキャンダルが引き起こした大騒動で、ドナルドの長年の妻シェリーを弁護し、これまた勝訴に持ち込み、クリッパーズは、シェリーの願うとおり売却されることになった。それだけでなく、問題の差別発言のきっかけを作ったドナルドの愛人から、シェリーの知らないところでドナルドがあげていた高額なお金や贈り物、車などを、払い戻させることにも成功している。ドナルドとシェリーの争いの真っ最中、ドナルドに直接「お前を殺してやる」と言われるほど、オドネルはドナルドに嫌われていた。

だが、この勝訴で脚光を集めたばかりの2014年9月、オドネルは自己破産を申請。当時、オドネルは、これを「離婚のせいで招いてしまった個人的な悲劇」と説明している。彼には別れた妻に払うべき200万ドルを含む740万ドルの負債があったが、この時、資産は11万8,500ドルしかなかった。また2011年には、不正政治献金疑惑で罪を認め、6ヶ月の営業禁止処分を受けている。

ハードはすでに複数の弁護士を雇っており、オドネルが具体的にどういう役割を期待されているのかは謎である。

先週金曜日のビデオに加えて(http://bylines.news.yahoo.co.jp/saruwatariyuki/20160815-00061152/)、本日はまた、ハードが持つ別の証拠写真もメディアに流出した。写真は、鏡に、青の絵の具で、「Billy Bob」「Easy Amber」などと描かれた状況を写したもの。ハードによると、昨年3月、デップは、ハードとビリー・ボブ・ソーントンの不倫を疑って怒り出し、物を壊したり、投げつけたりした。その後デップは、その場にあった絵の具で、これを描いたということだ。

ハードは、ソーントンとの間には何もなかったと主張している。ハードとソーントンは、昨年、トロント映画祭で上映される予定だった「London Fields」で共演した関係だ。映画には、デップもカメオ出演している。しかし、上映直前になって、編集をめぐって監督がプロデューサーを訴訟し、映画祭は上映を取りやめた。映画祭ではデップの主演作「ブラック・スキャンダル」も上映されたため、ハードは予定どおりデップとともにトロントを訪れ、レッドカーペットでは、カメラマンの前で熱いキスまでしてみせている。「ブラック・スキャンダル」は、映画祭の直後に北米公開されたが、期待された興収は稼げず、「London Fields」は、未だにどの国でも公開されていない。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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