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【インタビューの全貌を紹介】メーガン&ハリー、オプラに語る1:キャサリン妃とエリザベス女王編

今井佐緒里欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者、作家
2019年6月、女王93歳公式誕生日。ヘンリー王子夫妻には最後の同行事となった。(写真:ロイター/アフロ)

3月7日(日)、アメリカCBSテレビで、メーガンさんとヘンリー王子のインタビューが放送された。

司会者のオプラ・ウィンフリーさんは、大変有名な人物だ。

インタビューの詳細を、複数回に分けて紹介していこうと思う。理由は、日本の様子を見て、大変心配になったためだ。

強い関心をもつ人が多いのは、当然だと思う。筆者もその一人だ。しかし、メディアでかなり強い調子でものを言ったり書いたりして批判している方々がいるようだが、一体どのくらいの人がインタビューを全部見て、二人の発言内容を知った上で発言しているのだろう・・・? 見もしないで断じている?? そして、そういうメディアに、人々や世論は強い影響を受けてしまう。

メーガンさんがキャサリン妃と結婚式の件でケンカしたとか、次の子供は女の子だとか、そんなことなら構わないのだけど、内容はもっと深刻で、間接的に日本のあり方や、国内で今起きている問題、遠回りで世界情勢にも影響を与えそうだ。

筆者も、インタビュー後に短い記事を1本発表しているが、なんだかこの危うい状況に加担しているような、落ち着かない不安な気持ちになってきた。

世界ではすでに数千万単位の人が視聴しているが、日本で(まだ?)インタビューが放送されず、ネットでも気軽に全編を見られない以上、文章で、できる限りはカバーするしかないと考えた。

それになんと言っても、大変面白いし興味深い。新たに気づいたり、考えさせられたりする点が山積みである。内容を知る価値のあるインタビューだ。ぜひ、二人の声を読んでみてほしい。

とにかく長いので、何回かに分けることになるし、毎日はアップできないかもしれないが、関心のある方はご覧になっていただきたい。

インタビューは、二部構成。前半がメーガンさん一人、後半はヘンリー王子と二人である。時折、夫妻の家の庭で三人が話す映像が入ったり、話題になっている事の短い解説映像が入ったりした。

また会話なので、必ずしもきちんとした文章にならないことがある点は、文脈や加減を見ながら調節した。

1、キャサリン妃とエリザベス女王編

司会者のオプラさんは、メーガンさんと会ったとき、(コロナのせいで)「ハグはできないわ」と笑顔でこたえた。そして周りのスタッフはみんな、二重マスクでフェイスシールドをしているといい、その映像が映された。

メーガンさんはお腹が大きくなっており、「夫が後で来たら、性別を教えてあげるわ」などの和やかな会話が交わされる。

オプラ:話を始める前に、みんなにはっきりさせておきたいです。たとえ私たちは隣人であっても、私は道路の下にいて あなたは道路の上にいて、私たちは友人という場所を使っています。合意はありません。あなたは私が何を聞くか知りません。立ち入り禁止の話題はないし、このインタビューであなたはお金を受け取らない。

メーガン:すべてその通りです。

そして二人は、結婚式の日のことを話し始める。オプラさんは招待されていたのだ。

メーガンさんは、自分が体外に離脱しているようだったと語る。前の晩、奇跡的にもぐっすり眠り、朝は「Going to The Chapel」を聴いていたという。世界に向けて計画された日であることを知っていたが、楽しく軽やかにして、今日は自分たちの日であることを言い聞かせるために。

そして、オプラさんは大変鋭い質問を始めるのだ。王室に嫁ぐ意味についてである。この質問を真っ先にしたということは、アメリカ人の中にも(多数派ではないかもしれないが)、英国王室とアメリカとの文化の違いを理解していて、メーガンさんに対して疑問をもっている人がいるということなのではないか。

オプラ:結婚する人は誰でも、本当は家族と結婚することを知っています。でも、ただの家族との結婚ではなく、1200年の歴史を持つ機構(institution)と結婚しようとしていました。君主制と結婚しようとしていたんです。あなたはそれがどのようなものになると思っていましたか?

メーガン:私は王室のことをよく知らずに育ったので、単純に(世間知らずに/naively)入っていったと言えるでしょう。王室は、家庭での会話の一部ではありませんでしたし、私たちが従ってきたものではありませんでした。

私の母は数カ月前に私に「ダイアナはインタビューをしたことがあるの?」とさえ言いました。今なら「ええ、とても有名なインタビューよ」と言えるけど。母はそのインタビューを知りません。

オプラ:でも、あなたは王族を知っていました。もし王族に嫁ぐことになったら、そのことがどういう意味を持つのか研究(リサーチ)していましたか。

メーガン:そのことが何を意味するのかは、何のリサーチもしていません。

オプラ:何もリサーチしなかったの?

メーガン:いいえ。私は必要を感じませんでした。私が知る必要があることはすべて、彼が教えてくれました。

オプラ:つまり、あなたは自分自身との会話を持っていなかった、あるいは、友人に話をしていなかった、王子と結婚するとはどのようなものなのかを。王子とは、あなたが恋に落ちていたハリー・・・そのことをよく考えてみることはしなかったの?

メーガン:いいえ。私たちは、それがどういうものになるかもしれないかと思うか、たくさん考えました。私は仕事(the job)とは何かを完全には理解していませんでした。働く王族になるってどういうこと? 何をするの? どういう意味? 彼と私は、大義に関する仕事で同一線上にいました。それは私たちの最初のつながりの一部でした。

でも、毎日がどのようなものなのかを理解する方法はありませんでしたし、それに、とても違うんです。私は全然その要素にロマンを感じていなかったので。

でも、特にアメリカ人としては、王族について知っていることは、おとぎ話で読んだことで、それが王族について知っていることだと思うでしょう。現実とかけ離れたイメージを持つのは簡単です。それがここ数年の間、とても用心しなければならないこと(tricky)だったのです。認識と現実の二つは異なるもので、認識に基づいて判断されているのに、現実を生きているのです。完全にズレているのに、そのことを人々に説明する方法がありません。

さらにオプラさんは、突っ込んだ質問をする。女王陛下についてである。

(それにしても、主要登場人物が全員女性である。「家長」が男ではないし、メーガンさんには家庭における父親の存在が希薄である)。

オプラ:どの家庭でも、祖母や母親に会うために連れてこられると、自体は大まじめになります。祖母は家長で、あなたの場合は女王です。

メーガン:彼女は私が初めて出会った人々に属する方でした。本物の女王です。

オプラ:どうでしたか。正しい印象を与えなければと不安はありましたか。

メーガン:最初に女王陛下に会ったときは、それほど堅苦しいもの(formality)ではありませんでした。私たちはロイヤル・ロッジ(ウインザー城から5キロほどの所にあり、女王の母親の居住地だった場所)で昼食をとることになっていました。他の家族のメンバーが住んでいるところで、特にアンドリューとファーギー(女王の次男と元夫人)、ユージェニーとベアトリス(二人の娘)はそこで多くの時間を過ごしているようです。ユージェニーと私はハリーを知る前から知り合いだったので、居心地がよかったです。

そして、女王がウィンザーで礼拝を終えて、家に向かうことがわかりました。私はハリーと一緒に車に乗ると、彼は「OK、祖母がいるから、君は会うんだよ」と言いました。「OK、すばらしいわ(great)」と答えました。

私は祖母が大好きで、よく祖母の世話をしていたものです。「あいさつの仕方を知っているかい?」「何ですって?」「あいさつの仕方を知っているかい?」。私は心から、あいさつとは外で行われることだと思っていました。それはファンファーレでした。内部でやることだと思っていなかったんです。私は「でもあなたの祖母よ」と言いました。彼は「女王だよ!」と言いました。

オプラ:わあ!

メーガン:それが本当にペニーが落ちた(合点が行く)最初の瞬間だったかしら。

メーガンさんは、リサーチしていなくてよかったと語っている。もししていたら、そのことで頭がいっぱいになっていたからと。ファーギー(女王の次男の元妻)が案内人の役割を果たしているようだ。

また、メーガンさんとハリー王子はどのように出会ったのかというのは、詳細が知られていない。当時、オバマ大統領夫人のミシェルさんではないかと噂されていたが、もしかしたら、「ハリー王子と知り合う前から知り合いだった」というユージェニーが、鍵を握っているのかもしれないと思わせる。

オプラ: あいさつの仕方をググったの?

メーガン:いいえ、車の中にいたので。深く、敬意を示すために、私は家の前で素早く学びました。練習してから中に入りました。

オプラ:誰かのおばあちゃんに会いに行く普通の人(regular person)のように、もう緊張していなかったということが言いたいのですね。

メーガン:私は考えが混乱していました。私はロサンゼルスで育って、セレブにはいつも会うものです。これとは違いますが、でも、特にアメリカ人としては、「これらは有名人だ」と思うのは、とても簡単なことなのです。これは、全く違う状況(ball game)ですが。

ここで数分間、三人が夫妻の家の庭にいる映像が入る。鶏小屋のある場所である。

そして、メーガンとハリーは、司教と三人だけで、自宅の裏庭で結婚式をあげたことを語る。正式な結婚式の3日前のことで、カンタベリー大司教に電話で頼んだと明かす。

この映像のあと、話はイギリスのタブロイド紙と、キャサリン妃とのいさかいの話に移っていく。

オプラ:結婚式は、誰もが見たことのないような、完璧な絵でした。でも、私たちが全員見ていたその絵の向こう側、舞台裏では、明らかに多くのドラマが進行していました。

結婚後すぐに、タブロイド紙は、あなたの新天地で、あまりへつらっていないあなたの絵を描いた物語を提供し始めました。あなたがハリケーン・メーガンであるという噂もありました。

メーガン:聞いたことがないわ。

オプラ:OK。あなたがハリケーン・メーガンであるという噂があって、何人かの主要な宮殿スタッフが去ったという話です。それに、別の話がありました。聞いたことがありませんか、あなたがケイト・ミドルトンを泣かせたという話ですが(ケイトはキャサリン妃の愛称で、英語の報道ではケイトと呼ばれる事が多い)。

メーガン:これは聞きました。

オプラ: 聞いたのね?

メーガン:それは・・・転機でした。

オプラ: 転機だったの?

メーガン:ええ。

ハリー王子とメーガンさんの結婚式の6カ月後、ウイリアム王子の妻であるケンブリッジ公爵夫人(ケイト・ミドルトン)との間の亀裂について、タブロイドの見出しが席巻するようになった。

メーガンは、フラワーガールのドレスに対する未来の花嫁の「厳格な要求」に関する事で、ケイトを泣かせたと盛んに報じられた。

メーガン:ケイトとの物語、これは起きなかったことで、本当に、本当に難しくて、私は本当に、すべてが変わったときだと思います。

オプラ:あなたはケイトとの物語は起きなかったと言ってます。それで、具体的にはケイトを泣かせましたか。

メーガン:いいえ。

オプラ:それなら、その話はどこから来たの?

メーガン:・・・・・。

オプラ:彼女が泣いたかもしれない状況があったの? あるいは彼女は泣いた可能性があるの?

メーガン:いいえ、いいえ。逆のことが起きたんです。誰かを軽んじて行っているのではありません。結婚式の1週間は本当に大変でした。

彼女は何かに気分を害していたけど(upset)、自分が悪いと認めて、謝りました。花と小さなカードを持ってきて、謝ってくれました。誰かを傷つけたと知ったら私がするであろうことをしてくれました。説明責任を負う(take accountability)ために。衝撃的だったのは・・・結婚式の6、7カ月後かしら。その逆のことが世に出たということです。

「ケイトを泣かせた」報道は、結婚式からかなり経った後に、タブロイド紙を騒がせた。このあたりのことは、メーガンさんの説明していることは、正直言って、訳に困るような、わかりにくい内容だ。

フラワーガール問題や謝罪とは別に、何かあったことが窺える。どうやら父親に関することのようだ。報道を見ていると、この部分があまり報じられていないのは、わかりにくさのためだろう。

(それにしても、キャサリン妃の「お花とカードで謝ってきた」という行為に対して、「アカウンタビリティ」を持ち出すとは・・・。二人は住んでいる世界があまりにも違いすぎることを示す言葉に思えた)。

メーガン:彼女についてのことは、決して表に出てほしくなかったのに。それが実際に起こったことであっても。私はそれが世間に出ないように守っていました。

オプラ:それで、あなたが逆のことが起こったと言うのなら、どういう意味なのか、私たちに説明してください。

メーガン:結婚式の数日前、フラワーガールのドレスに関することについて、ええ問題は正しいのですけど、彼女は気分を害していました。そのせいで、私は泣きました。本当に私の気持ちは傷つきました。

結婚式に至るまでに起こっていた他のすべての流れの中で、他のみんながやっていることは何でも、ただ行わないのは意味がないと思っていました、それは私の父親と何が起こっているのかいないのか知っていて、サポートしようとすることでした。

オプラ:これはあなたがケイトを泣かせたという話で、当時大騒ぎになりましたね。いまあなたは、ケイトを泣かせたんじゃなくて、ケイトに泣かされたと言っています。私たちみんなが知りたいのは、何があなたを泣かせたのかです。何が・・・何が起きたんですか。花嫁が結婚式をみんなでする時の誰もがもつ不安を抱えていたし、父親に関するすべての問題を抱えていた。彼は来ていましたか。来なかったのですか。

メーガン:うーん・・・。

オプラ:ドレスのことで対立があったのですか。

メーガン:対立ではありませんでした。それに、彼女は謝罪したから、その詳細に踏み込むのはフェアではないと思います。

オプラ: わかったわ。

メーガン:そして私は彼女を許しました。乗り越えるのが大変だったのは、私がしていないことで責められただけではなくて、私に起こったことで責められたこと。私たちの結婚式に参加した人たちは、コミュニティの中で「これは起こらなかったと知っている」と言ってくれました。実際に起きたことを彼らに話す必要はありません。

メーガンさんは「機構の誰もが、真実ではないことを知っていました」と言っている。オプラさんは「じゃあ、なぜ誰かがそのことをを言わなかったの?」と聞くと、メーガンさんは「良い質問だわ」と答え、その後、以下のように発言している。

メーガン:人々が真実を理解することは本当に大切なことだと思うんです(・・・・・)

彼女(キャサリン妃)は訂正することを望んでいただろうにと思いました。そして、おそらく宮殿が、他の誰にも否定するのを許可しないのと同じように、彼女にもさせないでしょう。彼女は良い人だから。

私が展開するのを見てきたことの多くは、両極性という考え方だと思います。その考えでは、もしあなたが私を愛しているなら、彼女を憎む必要はない。彼女を愛しているなら、私を憎まなくてもいいのです。

ここから、オプラさんはリラックスした雰囲気をつくりだす。キャサリン妃とメーガンさんを比較する見出しについて語るのだ。

例えば、キャサリン妃は、妊娠でふくらんだお腹を手で持っていることで賞賛されていたが、「メーガンはプライドや虚栄心のためにお腹から手を離せない」と書かれていた、などである。このことは、メーガンさんは知らなかったようだ。

次に出てくるのは、アボガドのエピソードだ。タブロイド紙「デイリー・エクスプレス」が、「メーガンの大好物のアボカドスナックが、人権侵害と干ばつ、殺人を助長している訳」とする記事を掲載したのだ。

オプラ:それから、「ケイト、つわりに効くアボカドを食べる」っていうネットの記事があったわ。

メーガン:(笑)それは聞いたわ。

オプラ:(笑)でも、あなたアボカドを食べていたのね・・・。

メーガン:そして、殺人を煽っていたらしいわ。

オプラ:ああ、ケイトには一般的に一つの基準があって、あなたには別の基準があったと思いますか。もしそうなら、なぜ?

メーガン:わからないわ。どんなレイヤー(層)があったのか、今ならわかるわ。

オプラ:ええ、ええ。

メーガン:英雄と悪役の物語を本当に望んでいるように見えたわ。

リラックスして、アボガドの話で笑って和んだ後、オプラさんはさらに突っ込んだ質問をする。人種の問題である。でもここでは、他の話になっていき、いかに不自由なカゴの鳥だったかが語られる。

この部分でも、世界の違いを感じさせる内容が色々と出てくる。

また、王室メンバーに対する批判も飛び出している。

オプラ:あなたは最初の混血人種の人(mixed-race person)として、家族の中に入ってきましたね。溶け込めるかどうか心配しましたか。あなたはそもそもそれについて考えましたか。

メーガン:考えましたよ。彼らが考えさせたので。でも同時に、今振り返ってみると、これらのことがすべて真実だったことを神に感謝します。私はこの人生経験を持ったことを感謝します。働くことの価値を知っていたことを感謝します。私の最初の仕事は、13歳の時、ハンフリー・ヨーグルトという フローズン・ヨーグルトの店でした。

私はいつも働いてきました。私はいつも独立心を大切にしてきました。いつも発言してきました。特に女性の権利について。それはここ4年間の悲しい皮肉です・・・私は女性が自分の声を使うことを、長い間提唱してきました。そして、私は沈黙していたんです。

オプラ:沈黙していたの? それとも沈黙させられたの?

メーガン:後者です。

オプラ:それで、どのようにそうなるのですか。あなたはコミュニティの人たちに言われたのですか、それとも、わからないけど、機構ですか。黙るように言われたのですか。どのようにタブロイド紙やゴシップを扱うように言われましたか。 あなたは何も言わないように言われましたか。

メーガン:すべての人から・・・私の世界のすべての人が、世界がハリーと私がデートしていたことを知った瞬間から、非常に明確な指示を与えられました。常に「ノーコメント」と言うように。私の友人たち、私の母と父です。だから私たちはそうしたのです。

オプラ:ええ、ええ。

メーガン:私は彼らに言われたことは何でもしました。もちろんしました。「私たちはあなたを保護します」というレンズを通していたから。だから、私が見ていないメディアで物事が展開し始めた時でさえーーでも友人たちは私に電話をかけてきて「メグ、これは本当に悪いことよ」というのでしょうけど、私はそれを見ていなかったので、「心配しないで。私は守られているから」と言うでしょうね。

私はそのことを信じていました。そして、私は・・・本当に和解するのが難しかったと思います・・・私たちが結婚して、すべてが本当に悪化し始めたときになって、私は保護されていないだけでなく、彼らは他の家族のメンバーを守るために進んで嘘をつくだけではなく、私と夫を守るために真実を話してはくれなかったんです。

その後、話はエリザベス女王の話へと移っていく。

オプラさんは、王室組織を指すのに、ずっと「機構(institution)」という言葉を使ってきたのに、以下で初めて「ザ・ファーム/the firm」という言葉を使う。firmを辞書で引くと「(法人格を持たない)商会、(合資)会社、事務所」とある。

かつてフィリップ王配が、エリザベス女王と結婚する際に、「私はthe firmと結婚する」と表現したのが最初だということだ。否定的なニュアンスがある言葉である。王室メンバー内コミュニティで使うことは実はあっても、外では決して使わないという。

さらに、それに呼応するように、メーガンさんからも「家族経営」という、元王室メンバーとは思えないような、ちょっとびっくりする言葉も飛び出している。まるでそれをカバーするかのごとく、女王の素晴らしさに話が飛んでいくのであった。

オプラ:あなたは権力者たち(the powers)に支えられていると感じなかったと言っているのですか、ザ・ファーム、君主制、それらすべてに?

メーガン:二つを区別するのは難しいわ・・・家族経営(a family busines)

だから。

オプラ:ええ、ええ。

メーガン:家族がいて、それから機構を運営している人たちがいるのよ。それは二つの別のものよ。それを区分できることが重要なんです。例えば、女王は私にはいつも素晴らしかったです。私たちは、最初の共同の取り組みのの一つを一緒に行いました。女王が私に参加するよう誘われて、参加したのです。 

オプラ:これは電車の中で?

メーガン:ええ、電車の中よ。その朝は一緒に朝食を食べました。女王は私に美しい贈り物をくれました。一緒にいるのが本当に大好きでした。私たちは車の中にいて・・・。

オプラ:贈り物が何であったかを教えてくれますか。

メーガン:ええ。女王は私に、美しい真珠のイヤリングとお揃いのネックレスをくれました。私たちは取り組みの間の移動中に車に乗っていました。女王は、膝の上にブランケットをかけて暖をとっていました。寒い日でした。女王は「メーガン、さあ」と言って、私の膝の上にそれをかけてくれたんです。

オプラ:ああ、すてきだわ。

メーガン:まさにその瞬間・・・私は祖母のことを思い出しました。彼女はいつも温かくて、招き入れてくれて・・・そして本当に歓迎してくれました。

オプラ:そうね、あなたに女王に歓迎されていると感じられましたか。

メーガン:ええ。

ここから、さらにオプラさんは核心に触れていく。

メーガンさんの言うことは、時に矛盾をはらんでいるように見える。それが本心なのか、一定の線を踏み越えないようにしているためなのか、両方なのか、わからない。

終始穏やかに完璧な様子で話しているので、反応から判別することは難しい。ダイアナ元妃のインタビューの様子とは、かなり違う印象だ。

オプラ: みんなに歓迎されていると感じましたか。ケイトとあなたは・・・ウィンブルドンに友達がテニスをするのを見に行ったような感じに、傍目には見えている感じだったのですか。

あなたたちは世界に登場した義理の姉妹で、お互いを知るようになっています。彼女はあなたを助けていましたか、家族に暖かく受け入れて、あなたが順応するを助けてくれましたか。

メーガン:みんなが私を歓迎してくれたと思います。あなたは「傍目に見えている感じだったのですか」と聞きましたが、 過去4年間の私の理解と経験は、傍目に見えるようなものではありません。見た目とは全く違います。

そして、私は・・・よく覚えているのは、ザ・ファームの中の人たちに「傍目にそう見えるから、あなたにはできません。できないんです」と言われました。だから、「友達とランチに行ってもいいですか」と言っても、「いや、いや、いや、あなたは過分な飽和状態だし(露出しすぎているという意味)、どこにでもいるんだから、友達とランチに行かない方がいいでしょう」と。「ええと、私は行っていません・・・ 何カ月も家から出ていないんです」と。

ある日、家族の一人が家に来て、彼女が私に言ったんです。「しばらくの間、少し大人しくしていたらどうでしょうか。あなたは今どこにでもいますから」と。私は言いました「4カ月の間に2回家から外出しています。私はどこにでもいるけど、どこにもいません」と言ったんです。

そして、その立場から、「そのように物事が見える強迫観念があるのは知っています。でも、それがどのように感じるか、誰か話したことはありますか。今、私はこれ以上孤独を感じることができません」と言い続けました。

オプラ:うーん。あなたは孤独を感じていた。愛する王子がいたにもかかわらず・・・あなたは彼と一緒にいて。

メーガン:孤独ではありません。彼と一緒では孤独ではありませんでした。彼が仕事をしなければならない時や、離れて行かなければならない時、真夜中のある時とか。それで、私が行ってよいと許可されたことはほとんどありませんでした。

ええ、もちろん、とても充実した生活から来ると、あるいは自由から来ると、そのことは孤独を育みます。今、人々は最も簡単にそのことを理解できる方法があって、私たちがみんなロックダウンで経験したことだと思います。

オプラ:ええ、確かに今では誰もが結び付けて考えられますね。

◎続き【インタビューの全貌を紹介】メーガン&ハリー、オプラに語る2:子供の人種差別と、英連邦での役割編

◎参考記事(Yahoo Japan 2018年5月月間MVA受賞記事)ヘンリー王子はなぜメーガン・マークルさんを選んだのか。オバマ前大統領夫妻との関係は。

欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者、作家

フランス・パリ在住。追求するテーマは異文明の出会い、平等と自由。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。日本EU学会、日仏政治学会会員。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。前大使のインタビュー記事も担当(〜18年)。編著「ニッポンの評判 世界17カ国レポート」新潮社、欧州の章編著「世界で広がる脱原発」宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省関連で働く。出版社の編集者出身。 早大卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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